マタハラ問題いつまで… 育休復帰後の雇い止めに「無効」判決出たけれど

子育て世代がつながる
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妊娠や出産を理由に嫌がらせを受ける「マタハラ」が後を絶たない

 妊娠や出産を機に職場で精神的、肉体的な嫌がらせを受けたり、解雇や雇い止めなどの不利益を受けるマタニティーハラスメント(マタハラ)。実態が知られるようになり、対策が進んではいますが、いまだに被害は後を絶ちません。そんな中、2018年9月、契約社員だった女性の育休後の雇い止めを無効とする司法判断が出ました。

保育園見つからず契約社員に

 育休取得から復帰後、正社員から契約社員に変更され、1年後に雇い止めされたのはマタニティーハラスメントにあたり違法だとして、都内の英会話学校に勤めていた女性(37)が勤務先に地位確認と慰謝料などを求めた訴訟の判決が9月11日、東京地裁であった。阿部雅彦裁判長は、会社側に慰謝料の支払いを命じ、雇い止めも無効とした。女性は正社員への復帰も求めていたが、「契約社員に変更した際の雇用契約は女性も合意した」として退けた。

 判決によると、女性は教育関連会社「ジャパンビジネスラボ」(東京都港区)が運営する英会話学校で正社員の講師として勤務し、2013年3月に出産。14年9月に復帰する際に保育園が見つからず、週3日勤務の契約社員となった。その直後に保育園が確保できたため正社員への復帰を求めたが、会社は応じず、1年後に契約も打ち切られた。

 判決は「雇い止めは合理的な理由を欠く」と指摘。また、会社が育児中の女性にだけ子どもの発熱時も欠勤しないよう求めたり、面談の際に上司の男性が「俺は俺の稼ぎだけで食わせるつもりで彼女を妊娠させる」と発言したことなどを不法行為にあたると認定した。

企業に義務づけられたマタハラ対策

 妊娠や出産、育休を理由に退職や降格などを迫るマタハラは、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法で禁じられている。厚生労働省は15年、育休の終了などから「原則1年以内に女性が不利益な取り扱いを受けた場合、直ちに違法と判断する」と明確化。16年3月の均等法改正などで、企業にマタハラ対策を義務付ける条文が加わり、厚労省は加害者への懲戒処分を就業規則に明記するよう求めている。

 代理人の圷由美子弁護士は「判決にマタハラという言葉はないが、原告女性に対する嫌がらせを不法行為と断罪したことで、マタハラは認定されたと思っている」と指摘。正社員への復帰が認められなかったことに「(マタハラ防止に積極的な)行政と裁判所の感覚の乖離(かいり)を感じる」と批判した。

 ジャパンビジネスラボの弁護士は「極めて不当と評価せざるを得ない」などとするコメントを出した。

「育児中、転職も簡単じゃないのに」

 判決で雇い止めは無効と認められたが、正社員への復帰は退けられた。「会社にだまされるような形で失った正社員の地位は大きく、非常に残念」。判決を受け都内で会見した女性は声を絞り出した。

 育休延長後も保育園が見つからなかったため、会社が提示した契約社員の待遇を受け入れた。説明書に「正社員への契約再変更が前提」と書かれ、「キャリアが途切れないようにするための制度」と言われた。「会社を信じていた。口頭でも『戻れるんですよね』と確認したのに」

 しかし、実際の雇用契約書にこの条件が書かれておらず、会社はその後、女性の正社員復帰を拒否。判決で契約社員への移行は合意だったとされ、正社員の地位は認められなかった。「こんな手法が認められれば、社員を誘導して切ることも可能になってしまう。育児があるので転職も簡単にできない。マタハラ問題は被害が大きい」。育児をしながら無給で続けた訴訟は約3年に渡った上、会社側は控訴。自身も控訴を検討するが「家族にも負担。私の一存では決められない」と涙ぐんだ。

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