高3「入試はどうなるの?」高まる不安 新共通テストを控え休校長期化、9月入学案… 「私たちを『お試し』にしないで」

土門哲雄 (2020年5月18日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルス感染拡大で休校が長期化した影響で、来春の大学受験を控えた高校3年生から「入試はどうなるのか」と不安の声が上がっている。休校中のオンライン授業には学校ごとに差があり、緊急事態宣言が解除された地域を中心に学校再開に向けた動きが進む中、来年1月にはセンター試験に代わる大学入学共通テストが初めて実施される予定で、受験生の不安に拍車を掛けている。

休校が続き、自宅で英語の勉強を続ける私立高3年の男子生徒=本人提供

オンライン対応に学校間格差「学力差が広がっちゃう」

 「ちゃんと家で勉強できる人と、できない人とで学力の差がどんどん広がっちゃう」。私大理系を目指す都立高3年の女子生徒(17)は焦りを感じている。

 自身が通う高校では、オンライン授業は行われていない。民間の学習アプリ「クラッシー」で先生と課題やテストをやりとりするが、アプリ運営会社のシステムの不具合で課題などを受け取れないことも。代わりに塾が配信する授業動画で勉強を続けている。「学校再開の早い地方の子が有利になるのかなと思ってしまう」と漏らす。

 大学入学共通テストは、英語民間試験と国語・数学の記述式問題の導入が見送られ、文部科学省の検討委員会が、新たな入試の在り方を議論している。新型コロナ対策の議論の過程では9月入学案も浮上。「大学入試改革に続いて、これ以上、自分たちの学年を『お試し』にしないでほしい」と訴える。

 都内の私立高3年の男子生徒(17)は、4月からビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で双方向のオンライン授業を受けている。午前9時台から多い日で6コマの授業がある。先生や友だちと画面上で顔を合わせることができ、授業の質問もできる。

休校要請したのは国なのに、受験生の不安を放置するのか

 英語の教員志望で、内部推薦や海外留学、他大受験も視野に入れる。ただ、3月の休校で2年の3学期は期末試験がなく、今後もオンラインやリポート課題などでどう評価されるのか不安は残る。「受験生の不安を、休校要請した国が放置しているのは無責任だ」と感じている。

 国公立大文系への進学を目指す都内に住む通信制高校3年の女子生徒(17)は「この混乱した中で、初めての共通テストを受けるのは厳しい」と不安を隠せない。具体的な受験の内容を「遅くても夏休み前までには示してほしい」と訴える。

 文科省は、来春の大学の一般入試について、学習の遅れや格差への具体的な対応案をまだ各大学に示していない。文科省の4月中旬の調査では、家庭学習で同時双方向型のオンライン指導を実施するとしたのは、全国の教育委員会のうち5%のみ。その後も情報セキュリティーや家庭の通信環境といった課題を理由に、導入が遅れている。

教員も苦言「日程や出題範囲の方針、早く示して」

 文科省によると、青森、岩手、鳥取、鹿児島、佐賀県などで既に学校が再開。このほか、緊急事態宣言の一部解除を受け、再開を前倒しする自治体がある一方、感染者の多い自治体などで休校が長引いている。

 都内の私立高で3年生のクラス担任の男性教員(36)は「入試が通常の日程で行われるのか。その範囲を学習できるのか。大枠の方針を早く示してほしい」。別の私立高の女性教員(39)も「共通テストがどういう形になるのか。受験生は不安を抱えている」と訴える。

 名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)は「出題範囲を絞るなどの対応策を生徒たちにできるだけ早く伝え、不安解消に努める必要がある」と話す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月18日

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  • 匿名 says:

    年中(4月生まれ)の子供を持つ親です。
    コロナの影響を少なく…とは理解できますが、未就学児の一年の成長の差を考えてほしいです。
    子供は、幼稚園大好きなのに、3月から通えず、来年小学生と言われると、実質幼稚園生活半分位しか送れないんではないか?
    クラスの友達とも仲の良い友達とも分断され、自分だけ小学生にならなくてはならないとなると、どう思うのだろう。
    大都市のような色々な幼稚園から小学生になる場所とは違い、田舎は2~3箇所の保育園か幼稚園から、同じ小学校に集まるのです。幼稚園の同級生が1つ下の学年になる…子供は、適応力あるので大丈夫と言ってしまえばそれまでですが、自分だけなんで?と言われて、子供が納得できるように、きちんと答えてあげられるか自信がありません。
    児童が多くなり、只でさえコロナ対応で人手が足りない教育現場で、公平に教育を受けられるのか?年長という下の子を面倒見る立場になって得られる成長を奪うのか?
    秋入学でもいいが、せめて入学区分を現行のまま数年維持させて、未就園児から、区分変更を考えて欲しい。

    まとまらない文章ですみません。
    あまりにも、受験、グローバル化に焦点をあてたものばかりだったので、年中という一番影響受ける親のモヤモヤを、どこかに吐き出したかったのです。

      
  • 匿名 says:

    現在高校三年生と年中(2015年8月)生まれの子供がいます。間に二人いますが…四人の子供の母です。

    9月入学…ほんとに不安しかありません。上の子は大学受験に不公平が生じる為、9月入学がいいのでは…とも思いますが、大学受験に関しては大学側が受験しやすい環境を整えてくれれば少しは緩和できるのではないかと思います。例えば、地域枠などを設けるなどして地元の大学に行きやすいシステムを導入や、地方の大学に関しても特別枠をつくって授業数が減ってしまった13都道府県の子に対しての窓口を大きくしてくれるなどの対策を講じていただけると、入試において地域ごとの授業数の不公平感は少し減るのではないかと思います。(緊急事態宣言で都道府県ごとに休校措置がとられたので、県単位での授業数はほぼ同じと予想される)
    9月入学にすることのメリットとしてグローバル化が言われていますが、留学する子は全体の何%なのでしょうか?ほんの数%のために多数の犠牲を増やすメリットはあるのでしょうか?何でもかんでも世界に合わせるのではなく、桜の咲く4月入学、日本の昔からの文化として残していってほしいと私は思います。
    下の子に関しては絶対反対です。1才7か月差…まだ年中で、今年の4月から保育園に通っていますが、入園式以来保育園へ通えていません。トイレトレーニングもまだまだ途中です。そんな我が子が来年一年生になるなんて…。落ちこぼれ置いてきぼり…考えただけでも焦ってしまいます。焦ったあげく何でできないの!と子供に言ってしまいそうで…。ゆっくり年相応に育ってほしいと願っている反面、早く追いつかなくてはと不安ばかりです。
    小さい時の環境が子供が大人になっても影響を与えることは誰もが知っていることだと思います。1才7か月差で、みんな同じようにと求められても無理です。できません。できなければイジメや落ちこぼれ。自分はダメなんだと思って前に進めなくなる。引きこもり…いろんな面でマイナスしか思いつきません。そういった子供たちは時代の犠牲者として放置されるのでしょうか?

    感想と言うよりも9月入学の自分の思いを述べてしまいました。趣旨とずれてしまったかもしれません。すみません😣💦⤵️

      

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