音楽ユニットangela KATSUさん 挫折して「故郷に帰ろうか」と電話したら…家族の言葉にぼろ泣きしました

草間俊介 (2020年6月28日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

家族のこと話そう

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元サックス奏者の父 プロの生演奏を聴かせてくれた母

 両親と、4歳上の兄の4人家族。岡山県で育ち、17歳で上京し、2人組の音楽ユニット「angela(アンジェラ)」でアニメソングを中心に活動しています。2017年に武道館(東京)で単独ライブを行ったほか、海外の音楽イベントにもよく招かれます。

 会社員だった父は若いころは交響楽団でサックスを吹いていたそうです。私は中学でドラムにはまり、バンド活動を始めました。父は「やるなら、本格的にやれ」と言ってくれ、先生についてドラムを学ばせてくれました。

 母はそのころ、生演奏のある喫茶店で働いていました。プロの演奏がある日は、店の裏口からよく入れてくれました。そんな父と母の子ですから、ミュージシャンを自然に夢見るようになりました。

「上京し夢を追いたい」 父「わかった。10年かかるぞ」

 高校の時、父の転勤で家族で福岡県に移ることになりました。夢を追うなら今だ。反対されるのを覚悟で「東京に行かせて」と父に打ち明けました。「音楽関係の学校に進む道もあるぞ」、「今でないと、夢を追えなくなってしまう」−。話し合い、父は「わかった。(夢の実現には)10年かかるぞ」と認めてくれました。母は泣いて泣いて。

 東京では、楽器運搬などのアルバイトをして生活しました。友人を介して知り合った岡山県出身の女性と意気投合して組んだのが今のユニットです。1999年にCDを出す運に恵まれました。

 この1枚で、いっぱしのミュージシャンになったつもりでしたが、まったく売れません。1年がたち、所属事務所を離れました。自分の力のなさを突きつけられました。

自分の間違いに気づかされ…初心で路上に立ち、道が開く

 一から出直そうか、夢をあきらめて故郷に帰ろうか。挫折感でいっぱいでした。思い余って家に電話しました。父は「10年まであと何年だ」。えっ、10年と言ったのを覚えていたのか。兄は「家族の皆はそこまで期待していない」と言ってくれました。普通なら冷たく突き放すような言葉でしょうが、その時はありがたく感じられました。

 初めて自分の間違いに気が付きました。両親のためにミュージシャンになり、成功して喜ばそうと思っていたのでした。家族の言葉は私への最高の励ましに思え、ぼろ泣きしました。翌日から新宿、池袋、渋谷でギター片手に路上ライブに立ちました。幸運にも音楽関係者の目に留まり、2003年にメジャーデビューすることができました。

 今は、私の音楽を聴いてくれる人たちを喜ばそうと心がけています。母はいつもライブに来てくれますし、武道館ライブには父も。「お疲れさま」としか言葉を交わさなかったけど。家族は一番の応援者です。

KATSU(カツ)

 本名・平里勝敬(ひらさとかつのり)。1974年岡山県生まれ。atsuko(アツコ)と組む音楽ユニットangelaでギターとアレンジ担当。2003年、「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。人気アニメの主題歌を多数担当。「angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス 2019 LINE Blu-ray」が発売中。12月に横浜でイベント開催。活動予定などはangelaの公式サイトで。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年6月28日

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