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〈アディショナルタイム〉子どもを熱中症から守る3つの対策 サッカー日本代表コーチが解説〈前編〉

谷野哲郎  
 

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 梅雨が明け、夏本番になりました。外遊びや部活動など、子どもが屋外で活動する機会が増えるこの季節で怖いのが、熱中症です。甘く考えると命を落とす危険性もある問題に、スポーツ界はどのように対応しているのでしょうか。今回はサッカー日本代表の松本良一フィジカルコーチに話を聞きました。

図解 松本コーチがすすめる3つの対策

 猛暑の中で激しく体を使うイメージがあるサッカー。最も熱中症に近いともいえる競技の最高峰、日本代表はどのような暑熱対策を行っているのでしょう。7月中旬、日本サッカー協会(JFA)にお邪魔しました。

 応対してくれたのは日本代表を支える松本フィジカルコーチです。フィジカルコーチとは、選手のコンディションを整えたり、けがをしない体作りを指導するコーチのこと。大迫勇也選手や久保建英選手といった日本代表選手を見ている松本コーチは「熱中症といえば、小まめに水を飲む、休憩を取るなどの対策がありますが、実は練習や試合が始まる前が重要なんです。今日は代表でも行っていて、子どもの参考にもなる対策をお話ししましょう」と語ってくれました。

①運動する前に水分補給→水を”貯金”しておく

 「まず言いたいのは、練習前にしっかりと水分を取ること。これが重要なんです。最初の運動で汗をかいて、そのときにのどが渇くようならダメなんです」

 練習や試合の前に水を口にする選手は多いが、松本さんから見れば、量が全然足りないそう。「高校生以上は500mlペットボトル1本分くらい。子どもの場合はペットボトル半分でもいい。一気に飲むと、おなかが痛くなる人もいるので、運動する2、3時間前から徐々に飲んでいくのがいいでしょう。外に出る前にちゃんと水分を取っておく、先に蓄えることがポイントです」。言うならば、水の貯金をしておこうということなのですね。

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②手のひらを冷やしておく→深部温度を下げる

 次に指摘したのは「プレクーリング」。聞き慣れない言葉ですが、過度な体温上昇を抑えるために、運動前に体を冷やしておくことを指します。松本コーチは国立スポーツ科学センターや各大学の研究者と連絡を取りながら、対策を考えているそうで、「例えば、練習の前にクーラーボックスに手を入れて冷やす。氷や冷たいペットボトルを触って、手のひらを冷たくする。手掌冷却というのですが、これが効果的というデータが出ています」。手のひらでいいの?と疑問が湧きますが、血液が巡って体を冷やすのだそう。もちろん、休憩中にやってもOKだとか。

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 また、「アイススラリー」と呼ばれる液体を凍らせ、細かく砕いてシャーベット状にした飲料を運動前に摂取することもお薦め。「今はコンビニや薬局でも売っているところがあるし、なければ氷水でもよい。体の深部を冷やすことが効くのです」。手掌冷却やアイススラリーは、東京五輪を目指す陸上選手らも実践する最新冷却法。「クーラーの効いた部屋で休憩できればいいのですが、そうもいかないときの方が多いですよね。でも、手を冷やしたりするのは外で簡単にできますから」。手軽さが最大の魅力です。

③発汗もトレーニングに→体を暑さに慣らす

 3番目は暑熱順応、つまり暑さに慣らすこと。「できれば、汗をかく練習をして、徐々に体を慣らすのが理想ですね。体の強い代表選手でも、最初は汗をかくことに重点を置いたメニューを組んだりします」と松本さん。代表選手が合宿で発汗のトレーニングを練習メニューに組み込んでいるとは意外でした。

 「特に小さいお子さんには汗をかくトレーニングをしてもらいたいのです。理由は…」。まだまだ話は尽きません。次回の後編は小さな子どもと熱中症、親が子どもにできることを引き続き、松本コーチにうかがいます

 ◇続きはこちら→ 子どもが熱中症になりやすい理由 サッカー日本代表コーチが解説〈後編〉

 「アディショナルタイム」とは、サッカーの前後半で設けられる追加タイムのこと。スポーツ取材歴30年の筆者が「親子の会話のヒント」になるようなスポーツの話題、お薦めの書籍などをつづります。