子育てスタート期の親御さんと周囲の方へ〈森戸やすみのメディカル・トーク〉最終回

(2025年2月18日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
イラスト

イラスト・永須華枝

 本コラムは今回が最終回です。最後に少し、私自身の話をしたいと思います。

 私は小児科医になってから子どもを持ちました。患者さんと接するのと自分の子どもを育てるのは大違いで、特に初めの頃は、毎日精いっぱいで疲れました。

 とりわけつらかったのは、母になった途端、子どもに関するプロフェッショナルであるかのような自覚と行動を求められるように感じたことです。親になったのは同時である夫から、子育ての指示を求められることすらありました。善意からではあるものの、さまざまな人から助言もされます。実際は、子育ての正しい情報の探し方さえわからず、疲れと焦りが増しました。

 もしあなたが新人の親御さんで、子どもの健康に関することで迷った時は、ぜひこども家庭庁や小児科学会など専門家が多数参加しているサイトで情報を確認しましょう。地域の子育て支援窓口や保育園、小児科で相談するのもいいですね。小児科は病気の治療だけでなく、育児支援も期待される場所になっています。要点だけおさえてお子さんとの生活を楽しんでください。

 周囲に子育て中の人がいるという方は、若い人のやることにハラハラするかもしれませんが、温かく見守ってあげてください。育児や小児医療の知見は更新されているかもしれません。求められない限りアドバイスは控え、ご自分の経験を話すくらいにしておいたほうが角が立たないでしょう。

 年間の出生数が統計史上最少の70万人を割りそうです。今現在いる親と子たちを大切にしない少子化対策はあり得ません。

 今後も、そうした思いを胸に小児医療の現場に立ち、発信していきたいと思います。2年間、ありがとうございました。

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