日本版DBSは学習塾、スポーツクラブ、技芸の養成所も性犯罪歴チェック対象に 小倉こども相がインタビューで表明
四谷大塚、ジャニーズ…対象範囲が課題
導入が検討されている「日本版DBS」は、性犯罪歴をデータベース化し、性犯罪者を子どもに接する仕事に就かせないようにする制度で、現在、刑法の専門家らによる有識者会議でどのような制度にするか議論が行われています。
焦点の一つとなっているのが対象となる事業者の範囲です。保育所や学校など国や地方自治体が認可などの手続きを行い、事業者の特定や監督がすでになされている施設では義務化される方向となっています。
一方、民間の学習塾やスポーツクラブ、習い事などでも、強い立場にある大人からの性加害は後を絶ちません。2020年には男性ベビーシッターによる小児わいせつ事件が相次ぎ、政府が子どもへの性犯罪を防ぐための対策の検討に乗り出すきっかけとなりました。
今年8月には大手中学受験塾「四谷大塚」(本部・東京)の元講師が、教え子の小学生女児の下着を盗撮したなどとして逮捕されています。故ジャニー喜多川氏の長年にわたる所属タレントらへの性加害問題も明らかになりました。こうした一連の事件を受け、保護者や有識者からは、対象の拡大を求める声が強まっています。
塾は許認可制度がない…どう運用する?
小倉大臣はインタビューで、日本版DBSの制度設計自体については有識者会議で議論中とした上で、「認定制度といっても学習塾などからは制度への参加を強く希望する声があり、制度への参加を強く働きかけていくことで、実質的に義務化と同程度の状況とすることを目指していく」と話しました。
その上で、現行制度では、学習塾などについてはそもそも許認可の手続きがなく、事業者の特定や監督などを適切に行う仕組みが存在していないことを説明。「犯罪歴という極めて機微な個人情報を取り扱うことになるため、制度の適切な運用が確実に行えるようにしていくことが重要だ」と慎重に進める姿勢を見せています。
創設を巡っては、憲法の職業選択の自由との関係など法的論点の整理も必要になり、慎重な声もあります。こども家庭庁は、有識者会議で9月初旬にも案をとりまとめ、秋に見込まれる臨時国会に関連法案を提出する予定です。