〈中倉彰子さんの子育て日記〉45・ケンカするほど…
どうしたらマリア様になれるの
日に日に口が達者になる3人の子どもたち。最近は、口の勝負が多くなってきました。それぞれが主張するので「あちらを立てればこちらが立たず」。ケンカを仲裁するのもひと苦労です。「分身の術で、3人それぞれ専門のママが欲しいよ」と言うと「だったら私はホンモノのママがいい」「私だって!」とまたケンカ。いや冗談ですからー。心に余裕があるときは何とか対応できますが、仕事帰りでヘトヘトの時などは、ついつい叱ってしまいます。
先日も、長女マイと次女マキの口げんかの輪に私も加わってしまいました。「ママ、車の中で頭を冷やしてくる」と、子どもたちと離れて1人、駐車場の車にこもること10分。気分が少し収まり家に戻ると、あれ? 仲良くなっている。そして3人で考えたという踊りをママに披露して、笑わそうとしています。一応、一件落着。でもこれが良い解決方法だとは思えないなぁ。
ケンカは子どものコミュニケーション能力を育てる大事な経験で、ほっておくのが一番と聞いたことがあります。ただ現実は、「怒ってしまう→反省する→悩む」の繰り返し。どうしたら聖母マリア様のようなほほ笑みを絶やさない母になれるのでしょう。
心尽くしの誕生日パーティー
そんなケンカが絶えないきょうだいですが、今月、末っ子シンの誕生日を迎えるに当たっては、マキが心尽くしの準備をしてくれました。パーティー用のリボンで部屋を飾り付け、三角帽子やクラッカーなどを購入。自分のお小遣いでプラモデルを買うと、包装紙でラッピングし、「ママ、これ隠しておいて」。ノートに台本を書き、模造紙に当日のスケジュールを書き込みます。「ここでシン登場」「ケーキを出す。マキ→ピアノ、マイ→タンバリン、みんな→歌う」という具合です。
スポンジケーキを買って、生クリームとチョコレートの飾り付けをして、プレートにはチョコペンで「シンへ」と書きました。当日の仕切りも、もちろんマキ。でも、クラッカーの音が怖くてシンは隣の部屋に避難しました(いったい誰のためのクラッカーなのか)。「はい、シン、クラッカー終わったよ」とのマキの呼び掛けで部屋に戻ったシンが、ケーキのろうそくの火を消します。誕生日プレゼントをもらい、シンは大喜び。マキも満足そうでした。
こんなお姉さんらしい一面もあるんだとうれしく思いました。こうして少しずつ、絆を深めていくのかもしれませんね。(プロ棋士)