高校生が狭山茶からオリジナル紅茶を開発 プロジェクト6年目は初の一番茶 品評会入賞を狙う

武藤康弘 (2022年5月24日付 東京新聞朝刊)

発酵工程を終え、薄茶色になった茶葉の香りを確かめる生徒ら=狭山工業高校で

 授業で習得した工業技術を地元で盛んな製茶に生かそうと、埼玉県立狭山工業高校(狭山市)電子機械科の3年生10人が、「課題研究」の教科で狭山茶を使ったオリジナル紅茶の開発に取り組んでいる。「いい商品ができると思う」と手応え十分で、秋ごろパリで開かれる日本茶の品評会にも出品予定だ。

狭山工業高校「狭紅茶プロジェクト」

 今年で6年目となる同校の「狭紅茶(さこうちゃ)プロジェクト」で、狭山市内の生産農家「横田園」の協力を得て取り組んでいる。生徒らは20日に同園の茶畑でべにふうき種の茶摘みをし、21日は茶葉を手もみした後、発酵器に茶葉を入れて1時間ほど発酵を促した。無発酵茶の緑茶にはない工程で、時間の長短で味の濃淡を調整できるという。改良を重ねてきた発酵器は稼働中に湿度100%、温度28度を保てるようになっている。

手もみした茶葉を自作の発酵器に収める生徒

 2020、2021年度の3年生が完成させた紅茶はティーバッグに仕上げ、パリで開かれた日本茶の品評会「ジャパニーズティー・セレクション・パリ」に出品。2021年度は入賞にあと一歩までこぎ着けた。

 今年も2種類を出品する予定といい、担任の原嶌(はらしま)茂樹教諭は「横田園のご厚意で初めて一番茶を使わせていただいたこともあり、十分賞を狙える」と自信を示す。また、原嶌教諭は「プロジェクトでさまざまな年代の人と接することで、コミュニケーション能力も伸ばしてほしい」と生徒の成長にも期待する。

生徒は自信「やっぱり一番茶は格別」

 農工業の作業を同時に体験してきた生徒たちにも充実感が漂う。下斗米(しもとまい)颯太さん(17)は「手もみするうちに、いい香りが上がってくるのが分かった。やはり一番茶は格別。きっといい商品ができると思う」と目を輝かせた。ティーバッグの包装デザインも生徒たちが担当する。

 今年の「狭紅茶」は7月に完成発表会を予定。狭山市内の各種イベントで試飲機会があり、一部は販売も検討している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月24日