タレント 竹内由恵さん 冒険者の母が思わせてくれた「大人の趣味に子どもを付き合わせるのも悪くない」
父と結婚「海外に行きたくて」
母はポジティブで活力がある人。大好きな海外旅行を楽しみに生きていて、「ママは冒険者なんだ」みたいなことを言う。好きなことを大事にする、すてきな生き方です。父は証券会社で海外に行くことが多い部署にいましたが、「海外に行きたいから父と結婚した」って言ってました。
父の海外赴任中は家族で各地を回りました。すべて母が計画した、充実した旅行プラン。著名な美術館だけでなくバレエやミュージカル、クラシックコンサートも。当時の私や弟にはちょっと退屈だったりしたけど、小さい頃に触れた一流の芸術は今も忘れていません。
食事も子どもに合わせた料理でなく、母がおいしいと思うものを食べさせてくれた。私には3歳の長男と1歳の長女がいますが、もう少し成長したら、母のように大人の趣味に子どもを付き合わせるのも間違いじゃないな、とすごく思います。旅行にたくさん連れて行ったり、本場の芸術に触れさせたり。母がやってくれたように、子どもたちにも体験させてあげたい。
すごく自由に育ててくれた半面、「もっと面倒見のいい母親であってほしい」と不満に思ったりしたこともあり、結構けんかもしました。一方で私は母に似ているところもある。これをしたいと思ったらもう一直線、猪突(ちょとつ)猛進でとにかく実現させる。夫はすごく先回りして準備するタイプですが、私はいろんなことに挑戦する時に心配しないんです。両親の影響ですが、最近は必ずしも悪くなかったなと思えるようになりました。
孫2人を楽しませる無邪気な父
父は会社を退職後、ずっと本を読んでいます。庭の手入れをして、夫婦そろって毎日ジムに行く。とても子どもが好きで、子どもと遊ぶのがすごく得意。私が一日中仕事の時は、父が孫2人を子育て広場に連れて行くんです。下の孫を抱っこひもでかかえ、上の孫が歩く後ろからついて行く。
2人がなかなか言うことを聞かない時も、父のひと言で楽しそうになってくれたりします。たぶん、父のひらめきによるものです。私も子ども時代、毎週末に遊んでもらった記憶がありますが、無邪気で子ども心があるから、共感されるところがあるんでしょうね。
私は小学2年生からひどいアトピー性皮膚炎になり、顔が真っ赤で外を歩けないくらい。性格も暗くなってしまった。そこへ米国へ転勤し、先に現地に入った父から手紙が来ました。「ここは肌の色も、髪の毛の色も違ういろんな人がいる。由恵のアトピーも目立たない。全然気にすることないよ」って。それで一気に前向きになった。その手紙には今でもすごく感謝しています。
竹内由恵(たけうち・よしえ)
1986年、東京都出身。2008年、テレビ朝日に入社し、「ミュージックステーション」の司会、世界水泳や五輪、報道番組のキャスターなどを務めた。19年に退社し、専業主婦生活を経てタレントとして活動。2児の子育てなどを描いた著書「なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和」(祥伝社)を10月に出版。