〈坂本美雨さんの子育て日記〉11・「イヤイヤ期」到来
歌好きにホッ
歌を聴いたり踊ったりするのは大好きなのに、自分ではあまり歌わなかった娘。母が歌って自分は聴く、というふうに刷り込んじゃったかしら…と少し心配していたのだけど、近頃、急に歌うようになってきた。お弁当の歌の「ごぼーっさん!」と、「あたま・かた・ひざ・ポン」の「ひーじゃーポンッ!」を重点的にリピート(笑)。歌が好きになってくれてホッとしています。
そしてついに訪れたようです。イヤイヤ期と呼ばれる季節。自我が強いな、こりゃ気が強い子だな、そんな予感はゼロ歳のうちからしていましたが、これがイヤイヤ期か!と実感しているこの1カ月。
近年、イヤイヤ期の仕組みと重要性が解明されてきて、脳の中で抑制機能をつかさどる「前頭前野」という部分が未発達だから、という最新の研究もあります。だからといって対応が楽になるわけではないにしろ「じゃ、しょうがないことなんだな」と納得できることも。
「お風呂はいろうか」「はいらない!」「脱ごうね」「脱がにゃい!」「歯みが…」「みがかなぁぁいい!」
意外と面白い!
規則的に打ち返してくる卓球のようで笑ってしまう。寝言ですら「しないのぉ~!」と言うので、感情だけではなくて、脳みそがそういう信号を出しているんだなと、意外と面白がれている自分がいます(もっとイライラするのではないか、と、ビクビクしていたのですが)。
生まれてからこの世界のすべてのものに初めて出会い、その一つ一つを受け入れて、自分でやってみたり親にやってもらったりして、体験して慣れていく。子どもにとってその過程で、今度はその反対である「やらない」をやってみる、というのも、世界を知り自分の存在を自覚することにおいて、大きな意味を持つこと、という気がする。
何かを「やらない」ことも、やれることのひとつ。やるとやらないの両方を味わって、好きになったり、得意なことを知ったり、それぞれの結果と向き合うことができるのでしょう。
そう思うと、どーんと来い、もっとイヤイヤぶつかっておいで!という気持ちに…なんて、いつも余裕があるわけでは、もちろんないのだけど。ちなみにオットは、初めて「離して!」と言われて、ジワジワと傷ついたそうです(笑)。だんだん聞こえてきた、2歳の足音。(ミュージシャン)