〈清水健さんの子育て日記〉3・仲直りして、また、けんかして

(2018年6月15日付東京新聞朝刊)

清水健さんの子育て日記

水たまりをよけるのではなく、あえて入っていく息子

 「もうお兄ちゃんだから」。いつだったかな。息子がそれまでの「抱っこ抱っこ」から、手をつないで歩いてバス停まで。その成長が誇らしくて。でも、何かちょっと寂しくもある親心。勝手だね。ほんと。どんどん成長するから、心に刻んでいかなくちゃ、その瞬間を。頭では分かっていても、なかなかその余裕が持てないんだけど(汗)。

ピチャピチャイライラ 

 ピチャピチャピチャピチャ。雨の日の幼稚園への送り迎え。いつもは5分で着くのに、こういう日は15分かかります。いつもより早く家を出てよかった。付き合いますか(笑)。青い長靴履いて、カッパ着て。一応、傘も持ってるんだけど、そんなのお構いなし。水たまり、よけるのではなく、あえてそこに。楽しいんだろな。その笑顔を見てると、早く家を出るために、時間を気にしてイライラしたのを忘れます。


〈前回はこちら〉2・幼稚園 息子と泣いて笑って


 と言っても「パパも一緒に!」にはまいっちゃうけど。このあと、仕事でスーツだから、革靴が…。でもね、なんだろ、息子に教えてもらうことがいっぱい増えてきました。楽しめれば、これでいいって思えるんだ。ぬれるからって別に、急がなくてもいいんだよね。焦る必要なんてない、楽しいって思えるまで待ってみよう。

 息子にいつか渡したい、その思いで必死に向き合って記した『112日間のママ』(小学館)での妻への手紙で、「最近はね、手をつないでお外も一緒に歩けるようになりました。すごいよね、日に日に成長しています」と報告した時、息子は1歳4カ月。その息子が3歳7カ月になり、こうやって、水たまりに一緒に飛び込んでいる。

チョキチョキイヤイヤ

 もちろん失敗の連続。せっかく仕事を早く終わらせて、お迎え行って「散髪行こう」と。そしたら「今日は行かない」。出た。イヤイヤ。朝に「チョキチョキ行こうな」って言ったのに。「今日は行かない」「パパ、予約したから」「行かない」「いいかげんにしなさい」「行かない」

 結局、我が息子の大泣きでその日は諦めて。美容院さん、すみません。それで家に帰ったら、すぐに目をこすってベッドに。あっ、今日は金曜日、疲れていたんだね。せっかく、というのは親の都合。眠かったんだな。ごめん。

 こんな日ばかりだけど、仲良くやってます。見ていますか? 最近はけんかもできるようになりました。小さな息子を相手に何をムキになってと思うけど、仲直りして、またけんかして。 (元アナウンサー)

〈次回はこちら〉4・チョウチョ探し

清水健(しみず・けん) 

1976年、堺市生まれ。2001年、読売テレビ入社。13年5月に結婚し、14年に長男誕生。約4カ月後に妻を亡くす。17年1月に退社、現在は主に講演活動を中心に活躍。 著書に「112日間のママ」(小学館)、「笑顔のママと僕と息子の973日間」(同)がある。

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