〈清水健さんの子育て日記〉5・親にしかできないこと

(2018年8月24日付 東京新聞朝刊)

清水健さんの子育て日記

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肩車して木に止まるセミを捕る息子

 妻の4回目のお盆

 「パパ!」「何?」「なんにもないよ」「なんやねんそれ」。あの時、生後3カ月だった息子と、今日も笑って泣いてけんかして、また笑って。あれから3年半。妻の4回目のお盆も過ぎた。


〈前回はこちら〉4・チョウチョ探し


 正直に言うと、息子にちゃんと向き合ってあげられないこともある。息子は頑張っているのに、疲れているっていう親の都合で。息子はけなげに甘えてくる。「パパ、おかえり!」「はい、ただいま」「あそぼ!」「ちょっと待って」。何を待つ? 息子には関係ない。帰りを待っていてくれたんだよね。息子の前ではなるべく携帯電話を見ないようにと思っている。でも大事な用件など午後9時ぐらいに返事をしなくちゃいけないこともある。寝かしつけの時間に携帯、パソコンを触ってしまう。「パパ?」「ごめん。うん、もう消すよ」

 自分だけじゃどうしようもないことがいっぱいです。そんな時はお願いすることになる。息子は完全におばあちゃん子。楽しんでくれている母には感謝しかない。でも好奇心いっぱいの息子の世話は体力的にも大変だよね。どこまで甘えていいんだろう。遠慮なんていらないとは言ってくれるけど。妻の家族、姉家族、お世話になっているベビーシッターさん、お隣さん、みんなが助けてくれる。周囲に助けてもらっているからこそ、親である僕にしかできないことをしなくちゃ。

叱らないパパでいたい…

 こんなに叱るはずではなかった。叱らないパパでいたいと今でも思う。10月に4歳になる息子は、照れが入る時期と分かっていても「ありがとう」「ごめんなさい」「さようなら」が言えないと僕は叱ります。目の前に座らせて、目を絶対にそらさずに。すると小さな目から涙がポロポロと。その涙を見ると、自分のやっていることが正しいのか分からなくなる。息子にとっては怖いパパなんだろうな。

 ある日、母からLINE(ライン)で「少し休憩しなさい。顔も疲れているし笑えてないよ。ご飯もしっかり食べなさい」。余裕がないとバレてる。息子はもっと感じているんだろうな。息子の成長が一番の喜び。でも子育てって簡単じゃない、頼るって簡単じゃないです。

 4回目の夏、笑顔でいます。今日は怒るだろうけど謝らせて。ごめん。まだまだなパパで。あっ、お伝えしてって言ってるよね。「今」があるのは皆さまのおかげ、ありがとうございます。(元アナウンサー)

〈次回はこちら〉6・もうすぐ4歳 わかんないことだらけです

清水健(しみず・けん)

1976年、堺市生まれ。2001年、読売テレビ入社。13年5月に結婚し、14年に長男誕生。約4カ月後に妻を亡くす。17年1月に退社、現在は主に講演活動を中心に活躍。 著書に「112日間のママ」(小学館)、「笑顔のママと僕と息子の973日間」(同)がある。

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