〈清水健さんの子育て日記〉6・もうすぐ4歳 わかんないことだらけです

(2018年9月28日付 東京新聞朝刊)

清水健さんの子育て日記

写真 父子で並んだ影

影を見ながら、「何で僕の背よりも大きいの?」

 幼稚園の運動会で親子ダンスがある。家で息子と2人、音楽をかけて照れながら練習。パパが照れてどうする、なんだけど、意外にテンポも速くて難しい。息子の表情は「パパ、大丈夫?」。本番はどっちがリードするんだろ。その前に、初めての運動会です。我が息子の成長に泣かずにいられるだろうか、パパは。

 わからんこといっぱいです。朝の幼稚園バスの送り迎えはいまだ試練。家を出る時間になると息子の動きが遅くなってくる。行ったら楽しいのはわかってる。でも、寂しいんだろうね。2学期に入ってから少しその感覚が戻っちゃったかな。

 「行こうか」「イヤ」。泣く子を抱いてバス停まで。たまらない気持ちになる。これでいいのかな。甘やかしては駄目だよね。いろんな思いがぶつかりあう。仕事から帰宅すると、幼稚園の先生からお手紙が。「登園時は少し泣いていましたが、安心してください。しばらくすると、笑顔いっぱいでした」。こういうご連絡はありがたい。「お兄ちゃんでいたいみたいです。『トイレ行きたくないのに、トイレは?って、いっぱい聞かれたの。恐竜ごっこ、今日は1回もしてくれなかったの』」。トイレか、確かに言った、何度も…。大丈夫かって。息子のことを思って、が裏目に出てる。恐竜ごっこ、確かに時間に追われてできなかった。またしても親の都合だ。

 次の日。息子は頑張ってくれたんだろう。泣きもせず、バス停まで手をつないで。でもね、バスに乗り込む瞬間、その手にギュッと力が入ったのがわかる。たまらない気持ちになる。無理してる? 小さい心でいっぱい感じているんだろうな。わかってあげたい、その思い。これでいいのかな。ずっと一緒にいてあげたい。でも集団生活も大事だよね? 子育てに答えはない。答えがないことは妻の闘病中から痛感している。わかんないことだらけです、ここ数年。親としても夫としても、悲しみからも、まだまだだなって思う。こんな日がこれからもずっと続くんだろうな。

 息子は、もうすぐ4回目の誕生日。ママは隣にはいないけど、いっぱいの愛に囲まれた「おめでとう」を言いたい。奈緒、安心してください、元気に4歳です。一緒に「おめでとう」だね。そして、ありがとね、頼りないけどパパも4歳です。ママも4歳、おめでとう。忘れないよ、皆さまに「ありがとうございます」だね。(元アナウンサー)

しみず・けん

1976年、堺市生まれ。2001年、読売テレビ入社。13年5月に結婚し、14年に長男誕生。約4カ月後に妻を亡くす。17年1月に退社、現在は主に講演活動を中心に活躍。 著書に「112日間のママ」(小学館)、「笑顔のママと僕と息子の973日間」(同)がある。

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