杉浦太陽さん×産後クライシス(5)実は離婚危機も…こうして乗り越えた 今つらい夫婦に伝えたいこと

写真 杉浦太陽さん「実は離婚の話もあったんです」

Q5.忙しい時、家事分担はどうやって話し合いましたか?

◇子どもの誕生後に夫婦仲が急速に悪化する「産後クライシス」について、4児の父であるタレント・杉浦太陽さん(40)と考えます。4問目と同じ、神奈川県の「ひぃゆぅつかママ」さん、0歳の男の子と、5歳と小学3年生の女の子を育てる30代後半のお母さんからの質問です。

→家事や育児の分担について、ご夫婦で話をされたことはありますか。忙しいとき、どうやって話す時間を取りましたか?

分担は家庭による でも10:0は違う

今川綾音記者 子どもが小さい時期は特に、忙しくて夫婦で話す時間が取れず、日頃抱えてる不満や不安、感じていることを伝える余裕がなくなってしまいがちです。

杉浦太陽さん うちは、これをやって、あれをやって、っていう話し合いはないかもしれないですね。洗濯は「このタイミングで」「今日はこの香りの柔軟剤で」という妻のリズムがあるので、俺がやろうとしても「いや、私がやるからいい」となる。「料理をやろか?」と言っても、「いや、私が作りたいからやる」と言う。「じゃ、何やろうか?」と聞くと、「疲れてるときに料理してほしい」「子どもの相手が一番体力使うから、私が家事やってる間、育児の方お願い」と。妻の性格に合わせた家事分担が一番いいのかな、と思います。

今川 ここをやりたい、というのが一人一人違いますものね。

写真 夫婦関係について話す杉浦太陽さん

杉浦さん そうなんですよ。ダンナさんがピシッとしてる人だったら、「洗濯物、俺はこのたたみ方で、この順番があるんや」ということもあるでしょうし。その家庭、夫婦の性格によって家事分担を決めていけばいいと思います。ただ、10:0は違うと思いますね

分担を決めると不満がたまりやすい

今川 谷岡さんも妻と話す時間がなかなか取れなかったそうですね。

谷岡聖史記者 はい。事件の担当をしているときは本当に話す時間がなかったです。唯一、日曜日に話すんですけど、それも必要な用事のやりとりをしたら、もう肩が痛いとか風邪気味だとか、「最近、どう?」的な会話になるんですよね、一緒に住んでるのに。

杉浦さん なるほどね。

谷岡 だから、なかなかじっくりと家の中の分担をどうするという話し合いはできてなかったんです。でも、あるとき、妻から「実はこんなふうに偏ってるから」と言われて、話し合いました。ただ、僕のやり方も、杉浦さんのところと似ています。基本的に「相手がやってるときには、自分も休まずに何かやる」という形で、流動的に分担するようにしてます。これって決めちゃうと、どうしても不満もたまりやすいから。

写真 杉浦太陽さん(右)と話す今川綾音記者(左)と谷岡聖史記者

杉浦さん そうそう、そうなんです。決めちゃうと、「自分はこれやったから休憩するわ」って動かなくなってしまう。人間って不思議なもので、自分がやってて相手が動かなかったら「私だけ動いてるんですけどー」っていう気持ちが生まれるんです。だからそうならないためにも、ガチッと決めずに、2人でなんやかんやで動いてる、っていう感じにするのが平和かな。性格もあると思うんですけど、「俺は掃除終わったから、もう後はゆっくりする」っていうんじゃなくて、2人でやってるんだぞ感が生まれる方がいいじゃないですか。

大きなケンカで「離婚」話しました

今川 私も、夫婦で話す時間が取れなかった時期があります。夫が忙しくて家にいない日が多くて、ちょっとこのままだと話す時間もないし、家族で一緒に過ごす時間もないし、「もう家族でいる意味が分からない」と夫に言ってしまったことがあります。2人目がまだ赤ちゃんだった頃で、「離婚ていう言葉も頭の中にあったな、あのとき」って思うんです。杉浦さんは「離婚」という事態が頭をよぎったことはありますか?

杉浦さん ありますよ、あります。

今川 どんな時期でしたか?

杉浦さん お互いの心が離れた時です。

写真 夫婦関係について話す杉浦太陽さん

今川 2人目、3人目っていう頃ですか?

杉浦さん そうですね、2人目、3人目の大きなケンカの時はお互い離婚の話もしました。でも、離婚するのも大変だし、「自分の本心は何ですか?」って自分自身に問い詰めて、「やっぱり妻が好きで結婚したんだ」っていう答えにたどり着いたんです。じゃ、それを伝えようって。

 伝えたら、「私も心底嫌いなわけじゃない」と。そこで、「もう1回、一から2人で歩み直そうよ」と話し合いました。だから僕の場合は、妻に対する「好きだ」という気持ちは一番の大前提として残っていて、「じゃあお互い嫌いにならないために、もっとその気持ちを高めるために工夫していこうよ」という意志が、家事育児に反映された形です。

今川 大きなケンカがあったからこそ、そういう関係になれたということですか?

杉浦さん 大きなケンカをしたからこそ、「夫婦2人でこれだけのことを乗り越えた」という自信はつきました。なけりゃないに越したことはないんですけど、大きなケンカを乗り越えられたら、絆は深まります。僕ら2人も接し方が変わりました。

どんどん深くなる溝を埋めるには?

今川 谷岡さんは大きなケンカ、したことありますか?

谷岡 あります。杉浦さんが言う通りで、どちらかから謝るということをしないと、どんどんどんどん険悪になっていきますよね。どんどん距離が離れていく。

杉浦さん そうそう。溝がどんどん掘られていくので、それを埋めるのは大変な作業です。埋めるには、謝る言葉が一番体積が大きいですが、謝っている方は何に対して謝ってるのか分からなかったりするんですよね。そこで「何に対してのゴメンなの?」と始まる。

谷岡 深く考えないで謝ると、そうなりますね。

杉浦さん 男は結構単純なんで。「えっと、いやあ、あのとき、俺もさぼっとって…」って、言われたことに対して、また自分を見つめ直して反省をしていくっていう。

写真 夫婦関係について話す杉浦太陽さん

谷岡 原点に立ち戻るのは大事ですね。細かく考えると、「このことは謝るけど、このことは謝らないよ」みたいなことを言いたくなるんですけど、でも全体としては仲直りしたいんだから、そこを大事にしよう、と。

杉浦さん あのとき、怒ってたことに対しては俺が反省して直していくから、と。

谷岡 そうですね。

今川 そうやって、やりとりして溝を埋めていく。

焦らなくても、経験値が助けてくれる

杉浦さん 特に0歳児とか小さいお子さんの親御さんは、今は焦らず、でいいと思います。経験値というのが一番助けてくれるので。「今こうだからつらい」って、そりゃつらいと思います。子どもは成長していくし、未来は必ず訪れるものだから、明るい未来をどう築いていくかが大事です。「今は暗くても、自分で自分の未来を明るくしていける」という情報を知っているかどうか。この講座もそのきっかけになればと思って、今日は話しています。

今川 私もそうでしたけど、「子どもが生まれて夫婦関係がこんなになっちゃった」と思っている方が、いっぱいいると思うんです。でも、「ずっとこのままじゃないよ」って。

杉浦さん そう、明るくしていけるんだよ、夫婦関係を修復するチャンスはあるんだよ、っていうのを知ってほしいですよね。

写真 東京すくすくオンライン講座 杉浦太陽さんに聞く 夫婦の危機の乗り越え方 全9回

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すくすくボイス

  • うい says:

    辻ちゃんの意見に深くそうそう!と頷きながら記事を読みました!
    杉浦さん、記者さん家もうちも一緒と思えるだけでホッとします。
    うちは子供が1人いるだけで、旦那にムカついているので、辻ちゃんのイラつきは半端ないでしょう。
    その中で、時間割いて話し合い、前向きに進んでいこうってなかなか出来る事ではない。
    家事育児の、手伝いはもちろん、旦那さんには産後の不安定な嫁を支えるサンドバッグになる覚悟が必要かもしれません。
    その役割もきちんと分かって、取り組まれている杉浦さんもすごい。お疲れ様です。
    参考にさせてもらいますね〜!!

    うい 女性 30代
  • みどりくま。 says:

    杉浦さん。素敵な考えの人だなあ。
    温かく、そして、愛情がある人。
    四人育ててきての。言葉は。やはり、納得。
    喧嘩は、誰でもしたくない。
    やっぱり意固地にならないことは、大事だなあ。

    みどりくま。 女性 30代

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