「子どもの居場所を守りたい」コロナ禍の2020年を支えた学童保育・子ども食堂の思い
「安心して、自分を出せるように」
小学生が放課後や夏休みなどに利用する学童保育。11月下旬、文京区の民間学童「こどもの森せんだぎ」では、小学1~5年生10人が宿題をしたり絵を描いたりと、思い思いに過ごしていた。
月2回ある茶道体験のこの日、子どもたちは講師の説明を聞いて抹茶をたて、マスクを外して味わった。「おいしい!」「苦いよ~」と笑顔も見えた。
毎回楽しみに参加しているという小学5年の男児(11)は、学校が本格的に再開する前から通う。「ずっと家にいるのはつまらなかった。友達と会えるし、ここがあって良かった」
今春は臨時休校や分散登校など、例年にない形で学校生活が始まった。この学童保育では、夏ごろまで外部講師は受け入れず、活動を制限しながら、できる範囲で子どものエネルギーを発散させることを大事にした。公園で走り回ったり、科学実験や英語などの探求活動を充実させたり。横張寿希代表(26)は「子どもが安心でき、自分を出せる居場所になるようにと意識して運営してきた」と語る。
感染対策で増える約束、もどかしい
武蔵野市立井之頭小に併設の「井之頭こどもクラブ」には、児童120人余が在籍する。1部屋の人数を約30人にして活動し、手洗い、うがい、換気のほか、マスクを外した時は話さない、おやつは静かに食べる―などの約束も。「楽しく過ごせるようにと思いつつ、コロナは心配。約束が増えるのはもどかしい」と指導員の女性は話す。
春先には休校や親の在宅勤務の影響もあり、生活リズムが崩れ、学童保育で寝てしまう子もいた。「見て、見て」「つまんない」と、大人を求める子も目立った。学童の行事が減り、上級生が活躍する場を十分用意できなかったことも、女性は気掛かりという。「以前にも増して、工夫しながら、子どもの心身の成長を支えていかなければ」
全国学童保育連絡協議会(東京)によると、学校休校中の開所や分散登校などで多くの学童保育では1日保育が増え、指導員の勤務時間が長くなるなどの課題が浮かんだ。広さが十分でない施設もあり、職員から感染不安と緊張を抱えているとの声も寄せられている。
塾や習い事がない高学年の子が心配
「子ども食堂」では、使っていた施設が飲食禁止になるなど再開できないところも出ているという。
三鷹市のNPO法人「居場所作りプロジェクトだんだん・ばぁ」はテークアウトを併用しながら、団地の集会所で月2回、平日夕に子どもらに食事を提供している。
理事長で精神保健福祉士の加藤雅江さん(53)は「校庭開放や児童館利用が制限され、特に塾や習い事がない小学校高学年の子の行き場がなくなっているのが心配」と話す。食堂の毎回の利用者は平均50人になるといい、「コロナ禍でも、継続して居場所がある安心感が必要」と強調した。