誰にも言えず自傷行為をしている子どもたちへ 成育医療センターが「しんどいって言えない」リーフレット作成

(2022年5月8日付 東京新聞朝刊)

自傷行為をする子どもに向けて作成したリーフレット

 「暗闇のトンネルの中 きっと、きっと、ひとりじゃない」。自傷行為をしてしまう子どもに向け、支えとなるメッセージや苦しくなったときの対処法を載せたリーフレットを、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が作成した。行為をただ否定するのではなく「子どもたちの心を受け止めて支援につなげる」ことが目的だという。

小学4~6年の14%、中学生の12%

 リーフレットのタイトルは「しんどいって言えない-ひとりで自分を傷つけ癒しているあなたへ-」。傷つけた後、傷つけたくなった時、相談する時など、心の状態ごとに対処法を紹介する。「自分を傷つけることは、あなたの心のサイン…、自分の中にそういう方法をあみだして生きのびようとする力が、あなたにはある」と呼びかける。

 センターは、新型コロナ感染拡大のため全国一斉休校となっていた2020年4月以降、高校生以下の子どもや保護者を対象にインターネットでアンケートを行った。昨年12月の第7回アンケートでは、小学4~6年(回答数144)の14%、中学生(同89)の12%が、髪の毛を抜く、自分をたたくといった自傷行為を認めた。同時期、小学5年~中学3年生を対象に無作為抽出で行った郵送アンケート(同2418)でも同様の傾向がみられたという。

周囲の声かけで孤立を深めることも

 調査を行った「コロナ×こども本部」メンバーで児童精神科医の山口有紗さんは「子どもの自傷行為の多くは一人で行われ、周囲が気づかないことも多い。気づかれても『命を大切にしない行動はやめて』などと言われてさらに孤立を深める子どももいる」と話す。当事者だけでなく、周囲の人も、言葉がけの参考にしてほしいという。

 リーフレットは国立成育医療研究センターのホームページでPDFファイルをダウンロードできる。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月8日