不公平だと批判が強まる英語スピーキングテスト 「都立高入試の合否判定に加えない」条例案は都議会文教委で否決

沢田千秋、加藤健太 (2022年10月5日付 東京新聞朝刊)

英語スピーキングテスト関連の条例案を採決する文教委員会。右端は浜佳葉子教育長=東京都議会で

 東京都教育委員会が実施する英語スピーキングテストを来年度の都立高入試の合否判定から除外するよう規定した条例案について、都議会文教委員会は4日、反対多数で否決した。

自民と都民ファ「中立性を脅かす」

 条例案は立憲民主党と東京維新の会が共同提案。採決を前にした意見表明で、自民と都民ファーストの会は、都立高入試の受験科目選定への介入は教育行政の中立性を脅かすと強調。公明は「(テストを入試に)使用しないと議論すること自体、かえって現場は大混乱してしまう」と、条例案の提案自体を批判した。

 共産は、都議会の多数派が条例などで教育目的や内容を決定することに「慎重であるべきだ」として反対した。その上で、都教委によるテストの事実上の強制も教育基本法が禁じる不当な支配だと主張。「教育委員会の独立は好き勝手やっていいというわけではない」とし、都教委による自主的なテスト中止を求めた。

 採決後、提案した立民の風間穣都議は報道陣に「(条例の中身は)地方自治法に基づく議事事項」として違法性を否定。「この制度を調べるほど不公平だという声が届き、その混乱の方が(中止より)大きい。今後、見直しのため何ができるか検討する」と話した。

 東京都杉並区の50代の女性会社員は「公平な採点ができるかなど疑問に思っていた点を解消したくて傍聴に来た。準備が不十分なのに、なぜこうまでして強行するのだろう」と首をかしげていた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年10月5日