都立高入試の英語スピーキングテストに都議会で反対論強まる 立民が「評価に加えない」条例案、都民ファ5人が共同提案の意向

沢田千秋、加藤健太、三宅千智 (2022年9月21日付 東京新聞朝刊)
 東京都議会が20日開会し、中学3年生向けに行う英語スピーキングテストについて、都議会立憲民主党は、来年度の都立高校入試の評価に加えないよう規定する条例案を提出した。これを受け、いわゆる知事与党の都民ファーストの会の一部都議5人は、条例案の共同提案者になるため、議会運営委員長に申し入れた。スピーキングテストの入試活用を巡って反対の動きが強まっている。 
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スピーキングテストのプレテスト(試行調査)で、防音用イヤーマフの調整などをする生徒たち=2019年、東京都内で

採点は妥当か ベネッセへの利益誘導か

 条例案は、都立高入試では学力試験や調査書など従来の資料のみを採用し、スピーキングテストを採用する場合は、広く都民、有識者の意見を聴く体制が必要としている。22日の議運理事会で、条例案の共同提案者になるか、各会派が意向を示す。

 テストは11月27日、通信教育・出版大手「ベネッセコーポレーション」が実施予定。計8問で、生徒の録音音声はフィリピンに送られ採点される。テストに反対する都民ファの都議は「誰がどんな基準で採点しているか、採点結果は妥当か、都教育委員会も受験生も確認できない」と指摘。「ベネッセの類似試験が傾向と対策に使われ、特定企業への利益誘導となる」と批判している。

図解 英語スピーキングテスト見直しを求めるせいがんへの各会派の方針

共同提案には壁 法的拘束力はないが…

 一方、都民ファの一部議員が共同提案者となるには壁がある。都民ファ内では入試へのスピーキングテストの活用に賛成する議員が多数を占めるからだ。都議会の申し合わせでは、議運委員会で示された各会派の意向や方針の「尊重」を各議員に要求。あくまで紳士協定で、法的拘束力はないが、本会議採決で造反議員がいた場合、議運委員長が注意する慣例がある。

 都民ファの一部の都議は、会派の意向に反する場合も、条例案の共同提案者入りを目指す方針。都民ファの都議は「申し合わせの扱いが、議員の議案提出の権限を認める地方自治法の上位に来るのはおかしい」と主張。一方、他会派の都議は「議運ではなく、都民ファの会派内で話し合うべき問題だ」と突き放す。

都教委は22日にテスト導入するか決定

 本紙の取材に、神奈川、埼玉、千葉各県の議会事務局は「会派単位でしか議案の提案者になれない」旨のルールや縛りはないとした。自治体政策学が専門の牧瀬稔・関東学院大法学部准教授は「条例提案の権利を会派単位に制限すれば、地方自治法違反の可能性がある」としている。

 都教委は22日の定例会で、来年度の都立高入試の実施要綱を議論し、スピーキングテストを初めて導入するか決定する。都民の一部からも再考を求める声が上がっている。

知事与党の都民ファ 亀裂が表面化

 都民ファーストの会は小池百合子都知事を支える勢力として誕生して5年。英語スピーキングテストを巡り、会派内の亀裂が表面化した。

土壇場で…「執行部の時間稼ぎ」と不信感

 今月上旬、来年度の都立高入試でのテスト採用を延期するよう求める請願について、都民ファは会派の方針を決定。結果は「不採択」で、会派の幹部は所属議員に「スピーキングテストの導入に賛成が多数だった」と報告した。

 しかし、所属議員30人の一部が、都教育委員会宛てに、テストの都立高入試への採用に再考を求める要望書を出したことが発覚すると、会派内は揺れた。

 15日の文教委員会の前日、都民ファは突如、委員会メンバーを変更。要望書を提出した議員を、スピーキングテストを審議する同委員会から外した。

 本番の文教委では請願の扱いが話し合われ、都民ファは会派方針に従い、自民、公明と共に不採択を表明するはずだった。しかし、継続審査を求める共産や立憲民主に同調。委員会は紛糾し予定を5時間オーバー。結局、継続審査が決まった。

 土壇場で態度を一変させた対応について、会派内には「執行部が時間を稼ぎたかったのではないか」と不信感が広がっている。(加藤健太)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年9月21日

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  • 中学生の保護者NO2 says:

    万が一、テストが0点だった場合、内申を上げる為に努力してきた学生が、内申点約6点分落とす。せっかく、努力して、入試に有利に頑張った学生が泣くシステム。たった15分で、評価3から4へ、4から5へ、頑張った分が根こそぎ、持っていかれる。

    スピーキングテストの20点は、非常に大きいです。学力テストの約15点分(3~4問分)ですが、直ぐに学力が上がるわけでもないですよ。

    中学生の保護者NO2
  • 中学生の保護者 says:

    東京新聞様、この件を取り上げてくださりありがとうございます。
    保護者としては、「テストがベネッセの利益のために実施される」ことも「スコアが入試に使われる」のもどっちも反対ですが、ここまで来たら、後者だけでも絶対にやめていただきたいと思っています。新聞で、不受験者の取り扱いも紹介してください。ほかの都道府県から都立高校を受ける生徒は、スピーキングテストが受けられないので、筆記試験で自分の成績と近い成績のほかの受験者のスピーキングスコアの平均点を「もらえる」んですよ。都内中学生の立場でいえば、自分がスピーキング頑張れば頑張るほど、筆記試験の点数が近いスピーキング不受験者を利することになり、自分が落ちるかもしれないってことです。そんなこと許されるのでしょうか?
    大学入試での民間試験活用案は、本当に最後の最後で中止になりました。
    都議会でスピーキングの導入が可決され実施要項が出た後であっても、テストが実施されたあとであっても、「入試へのスコア算入」という一番の問題点は、撤回されなければならないと思います。そのためには、「入試に使うことがいかにおかしいか」というのを詳しく報じていただき、都民に伝わることがとても大事です。都議会で可決したとしても、この件粘り強く報道を続けていってください。
    どうかよろしくお願いします。

    中学生の保護者

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