都立高入試の願書「性別欄」を廃止 性的マイノリティーに配慮 全国で最後、2023年度からようやく
加藤健太、奥野斐 (2022年10月15日付 東京新聞朝刊)
東京都教育委員会は、2023年度の都立高校の入試から、入学願書に設けている受験生の性別欄を廃止することを決めた。性的マイノリティーの生徒に配慮して全国の公立高校入試の願書で性別欄の廃止が進む中、都教委だけが残していた。当事者や親らから歓迎する声が上がった。
中学校作成の調査書で判断できる
都立高は、都道府県立高校で唯一、男女別定員を設けている。同じ高校に入るのに、女子の方が合格最低点が高い傾向にあることから「不公平だ」と問題視され、都教委は9月、早ければ24年度入試からの廃止方針を示していた。
都教育庁の担当者は「男女別定員を設けているため性別の把握が必要だった」と性別欄を残してきた理由を説明。2023年度入試では男女別定員は残るが、「生徒本人に性別を書かせることは心理的に負担をかける。中学校が作成する調査書を見れば性別は判断できる」として、廃止を決めた。
性別欄の廃止を要望してきた市民グループ「東京ジェンダー平等研究会」の都立高教諭は「そもそも他の書類で確認できる性別を、本人に願書へ書かせる必要性はなかった。廃止は当然のこと」と冷静に受け止める。
トランスジェンダーの中学生「うれしい」
都内に住むトランスジェンダーの中学生は「うれしい。これを機に不要な男女分けをなくすなど取り組みが進んでほしい」と喜んだ。母親(50)によると、この生徒は性別欄があるために都外の高校への進学を考えていたという。「性別欄の廃止で選択肢が広がる人もいると思う」と歓迎する。
現在、この生徒は性自認に合わせた通称名や制服で学校生活を送るが、過去には教職員の対応で嫌な思いをした。母親は「性別欄だけでなく、皆が過ごしやすい学校になってほしい」と話した。