怖いマグネット玩具の複数誤飲 小腸と大腸を挟んで磁石がくっつき… 全国調査して危険性を訴えた小児科医

西川侑里 (2022年6月11日付 東京新聞朝刊)

小児科医の宮本亮佑さん

消費者庁が法規制求める報告書

 磁力の強いマグネット玩具を子どもが誤飲するのを防ぐため、消費者庁が3月、子どもの手に渡らないようにするなどの法規制を求める報告書を公表した。作成には、小児科医・宮本亮佑さん(38)が2018年に実施した事例調査の論文が参考にされた。宮本さんは「子どもの安全を守ることに貢献できたかな」とかみしめる。

ほうっておくと器官が壊死してしまう

 調査のきっかけは、勤務する愛知県長久手市の愛知医科大病院で、嘔吐が続く3歳の男の子を診察したこと。内視鏡で検査すると、直径1センチの磁石が3つ小腸と大腸を挟んでくっついた状態で見つかり「ほうっておくと器官を壊死(えし)させてしまう」と手術。全国337カ所の病院などにアンケートし、複数誤飲が2015~2017年に33件あったと判明した。

 消化器系が専門。磁石1個をのみ込んだ子の来院は今もたまにあり、コロナ禍で「通販で買って家で遊ぶ機会が増え、誤飲事故は増えていないか」と、追加調査を考えている。さらに気になるのは、原因は特定できないが腹痛や頭痛など何となく体調が悪いと訴える子の増加。不登校になるケースもあり「無理に行かないで。でも、外で日光を浴びて骨を丈夫にして」と伝えている。