幼保無償化の対象外、首都圏1都6県で26施設 「原則無償化」のはずが… 3施設は自治体の支援もなし
大野暢子 (2019年7月8日付 東京新聞朝刊)
実態は幼稚園や保育所に近いのに、10月からの国の幼児教育・保育無償化が適用されない施設が、首都圏1都6県に少なくとも26施設あることが東京新聞の調べで分かりました。そうした施設には計700人が通っています。このうち15施設は、立地自治体から国の無償化並みの支援が見込めますが、残る11は自治体からの支援水準が低いか、支援がない施設です。政府が説明する「3~5歳の幼児教育・保育は原則無償化」の枠外に置かれることになります。21日は参院選投開票日。選挙をきっかけに、子育て世帯の関心が高い制度について考えてみませんか。
認可を受けない「幼稚園類似施設」
首都圏の自治体や幼保施設を取材し、国の無償化制度から外れる施設を集計した。26施設は敷地面積や法人格の取得が壁となり、幼稚園や保育所の認可は受けず「幼稚園類似施設」と呼ばれている。
26のうち東京都内の15施設の利用者は、都と市区の補助で国の無償化並みの支援を受けられる見込み。残る11のうち8施設は、立地自治体が財政支援しているが、国の無償化には及ばない。3施設は立地自治体からの支援もない。
文部科学省は、自治体が利用者や施設に財政支援をしていることを条件に、救済策の検討を始めた。自治体の財政支援を受けない施設に通う子どもら計85人は、そうした救済策からも漏れる恐れがある。
国の担当者「運営形態が多様で…」
類似施設も「認可外保育施設」として届け出れば、共働き世帯などに限って無償化される道がある。だがこれらの施設は、共働きの利用者がいないことや、認可外保育施設の基準が施設の教育や運営方針に合わないことなどを理由に、認可外の届けをしていない。
文部科学省幼児教育課の担当者は「幼稚園類似施設は運営形態が多様で一律の無償化になじまない」と説明。救済についても「公費で支援する以上、自治体が施設の必要性を認識しているかどうかが一つの指標になるだろう」と話す。
類似施設は高度経済成長期に幼稚園不足を補うため、自治会や個人、教会などが始めた例が多い。小規模な施設や保護者が運営する所もある。障害児や外国人児童、集団行動が苦手な子など、他の施設に合わなかった児童を積極的に受け入れてきた施設もある。