育児雑誌のようにはできないけれど 今日も向かい合えることに感謝〈清水健さんの子育て日記〉28

(2021年1月15日付 東京新聞朝刊)

北海道から届いた恐竜の絵に興奮

いつもホームランじゃなくていい

 「これは誰でしょう?」。大きくバットを構えた息子が聞いてくる。自分で実況中継しながらベースを回り、ホームイン。そのあとのポーズも決まっている(笑)。この日は、服も帽子もマスクも大好きなソフトバンクホークス・柳田悠岐(やなぎたゆうき)選手の背番号9。「カッキーン!」。何度もホームラン、楽しそうである。

 でも、実際はそうはいかない。冷たい風が吹き、前日の雨が水たまりとなって残る公園で、バットに当たったボールがなかなか高く上がらなかったり、空振りしたり。それでも、ボールを走って取りに行き、柳田選手のマネをして繰り返し構える。前なら何度か空振りすると諦めることも多かったのに、強くなった。

 そんな息子の姿が誇らしく、打てそうなところにボールを投げる。甘かったり厳しかったり、時には言い合うこともあるけれど、今日もこうして笑って過ごせています。

我慢が続く幼稚園生活もあと少し

 幼稚園生活のラスト、年長さんの3学期もスタートしました。新型コロナで多くを我慢している子どもたち。まだしばらくこの生活が続きそうです。生活発表会や卒園式、親は参加できるのか。親にとっても我慢の園生活。それでもお友だちと会える。笑顔で登園する子どもたちに、いつものバス停で会うママさん・パパさんも心を救われます。

 去年の年末、北海道の大学院生から恐竜の絵が送られてきました。この「子育て日記」を大学寮の寮母さんが読んでくださったのがきっかけで、息子の恐竜好きを知って描いてくださったそうです。

 話す言葉と書く言葉の違い。うまくまとめられず、心が折れそうになることもあるけど、つながることができる言葉。この言葉を大切にしていきたい。今年も子育て日記、よろしくお願いします。

バックナンバーに心が揺らぎつつ

 今年の2月は、妻の七回忌。先日、部屋の整理をしていると、「初めての育児」などといったタイトルの雑誌が出てきました。でも、それは、2015年1月号まで。その多くない冊数に、やっぱり悔しさが出てきます。時間は確かに進んでいますが、まだまだ心は行ったりきたり。

 雑誌のような子育ては決してできてはいないし、ケンカもしながらだけど、今日も向かい合うことができている。いつものように朝を迎えて、いつものように「おはよう」と言える。そんな「いつも」に感謝しながら、今年、小学校にあがる、多くを理解しはじめている息子とゆっくり手をあわせたいと思います。 (フリーアナウンサー)