女優・歌手 大原櫻子さん 歌詞に込める母への思い「何だか照れるけどありがとう」

平井一敏 (2019年11月24日付 東京新聞朝刊)

大原櫻子さん(高岡辰伍撮影)

芸術好きの仲良し一家 今も年1回はみんなで旅行 

 ずっと実家暮らし。両親と3歳上の姉、私の4人家族です。みんな芸術が好き。両親は特にお芝居が好きで、「内容は分からなくてもいいから見ておきなさい」と、小さいころからよく舞台を見に連れていってくれました。

 私は5歳からピアノとダンスを習い始めました。どちらも自分から親にお願いしたんです。ピアノは幼稚園で開かれていた教室を見て、3歳ごろから「行きたい」と言ってたんですけど、先生に「指の力がついてから」と言われて5歳まで我慢しました。ダンスは友達の発表会を見に行って「格好いい」と一目ぼれ。姉も一緒に通っていましたが、私の方がどっぷりはまって今でも続けています。

 歌も大好きだったので、家族でよくカラオケにも行ってました。今でも一緒にご飯を食べに行くし、結構、仲のいい家族なんです。休みの日にみんなで山登りや海を見に行くことも多くて、年に1回は家族旅行へ。今年の初めは軽井沢に出掛けました。

デビュー後に知ったありがたみ 絶品ビーフシチュー

 17歳でデビューしてから、家族のありがたみがより分かるようになりました。母はいつも私の体調を気遣って、栄養バランスの良い手料理を作ってくれます。特にビーフシチューは絶品。私が仕事に行くときには必ず玄関まで見送りにも来てくれる。3年前に出したアルバムの収録曲「こころ」は「いつも心配かけてごめんね 何だか照れるけど ありがとう」から始まる歌詞で、母を思い浮かべながら歌っています。

 ただ、私は昨年に大学も卒業したので、最近は「一人でいろいろできなきゃ」と自分で朝ご飯を用意して体調管理をしっかりやろうと頑張ってます。でも、味見すると「何でおいしくないんだろう」と思うことも多くて。母の偉大さをあらためて感じますね。

姉は編集者、父はナレーター 支えられている安心感

 同じアルバムの特典DVDに収録したショートムービーは、姉が脚本を書いてくれました。姉は本の編集者。小さい時から文章を書くのが好きで、「小説家になりたい」と言ってました。海外の曲も詳しくて、「いつか歌って」と私に教えてくれ、ツアーでカバーが実現した曲もあります。2人でよく旅行もするし、友達みたいな感じですね。

 父はナレーターで、仕事で悩んだ時にも頼りになります。家族がそれぞれ違う分野で、見え方や意見も違う。ぶつかることもあるけど、基本的には仲がいいので、支えられている安心感があります。だからこそ、私は自分のやりたいことを自由に伸び伸びと全力でできる。今回のCDでは作曲に初挑戦しました。映画や芝居にもどんどんチャレンジしていきたいと思います。

大原櫻子(おおはら・さくらこ)

 1996年、東京都生まれ。2013年公開の映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」のヒロインオーディションで選ばれ、女優と歌手で同時デビューした。2018年に日本大芸術学部映画学科を卒業。ことしはNHK連続テレビ小説「なつぞら」やミュージカル「怪人と探偵」などに出演し、12月4日に11作目のシングルCD「Shine On Me」をリリースする。