ボール遊び禁止に子どもたちが異議!板橋区の中学生が報告会 区議会で陳情採択されたのに「今も変わっていないのはおかしい」
自分たちだけでなく、下の世代のため
グラウンドの利用が制限されることになったのは昨年2月頃。板橋区は区民説明会を開いていたが、当時、小学5年だった子どもたちには寝耳に水。公園など別の場所でサッカーや野球をするにしてもボール遊びが制限されていたり、制限されていなくても同様に遊び場を失った利用者たちであふれていた。
子どもたちは、周辺の公園の利用状況を調べて議論を重ね、自分たちだけではなく、下の世代を含めた子どもたちのためにも声を上げることの大切さや、児童相談所の必要性も理解。加賀2丁目公園の利用時間延長や、子どもの意見を聞くよう求める陳情を昨冬、板橋区議会に提出した。
陳情採択で利用時間は延長されたが…
これまでに陳情は採択され、加賀2丁目公園の利用時間延長などは実現したが、子どもたちは、子どもの意見を聞く取り組みが進んでいないことに不満を感じているという。子ども政策課の担当者は「コロナの影響で、外部委員が入る子育て関連の会議が開けず具現化していないが、進めていく」と話し、今回の問題に継続的に取り組む姿勢を見せている。
この活動に参加している中学生は今、8人。報告会には保護者や先生、地域住民らも参加。大人からは「今後は年下世代の声ももっと取り入れて」などの意見があった。今後は、街づくりに子どもの意見を取り入れてもらうには何ができるかについて、大人の意見も聞きながら考えていくという。
取り組みを見守る東洋大の斎藤博准教授(まちづくり・都市計画専門)の話
街づくりをはじめとする地域の営みには多様な属性を持つ人が、多様な方法で地域と関わることが大切だ。
板橋区の子どもたちの取り組みは、地域運営のプレーヤーとして認識されていなかった子どもたちが、遊び場として慣れ親しんだ校庭や公園などの公共的な空間のあり方について、大人に純粋な問いを投げ掛けた。子どもたちは、情報発信や人脈づくりで大人たちの助けを得ながら、主体的な活動を展開している。
地域の大人や行政はこうした活動から、地域に暮らす多様な人々が、主体性を持ちながら地域に関わるために、どんな支援ができるのか考えることが求められている。