「マスク依存の子どもが増えている可能性」精神科医が警告 感染対策のはずが素顔を隠すためになり、発達に影響も

原田遼 (2022年5月10日付 東京新聞朝刊)

マスク越しに談笑する高校生=東京都渋谷区で(戸田泰雅撮影)

 長期の新型コロナウイルス流行でマスク着用が常態化し、素顔を見せることを恥ずかしがる子どもが増えている。専門家は「コミュニケーションの発達や不登校に影響しかねない」と懸念し、子どものマスク着用の弊害を訴える。 

オンライン授業でも「みんな着けてる」

 3月、東京都内の母親(29)は自宅でオンライン授業を受ける小学4年の娘(10)を見て不思議に思った。自宅ではふだんマスクを外し、以前はオンライン授業も素顔で参加していたが、この時はマスクを着けていた。理由を聞くと「みんな着けているから何となく」。画面の子どもの半数がマスク姿だった。

 母親は「外でマスクを外していいと伝えた時も娘は恥ずかしがった。以前より素顔をさらすのが不安になっている」と心配する。

コロナが収束しても「今さら素顔は…」

 調査会社「日本インフォメーション」が2月、10~60代の会員約千人を対象にインターネット調査を実施したところ、「コロナ収束後もマスクを使用するか」との質問に対し、10代は男女ともに約5割が「いつも必ず使用」か「できるだけ使用」と答えた。

 理由は、10代女性では「かわいい、きれい、かっこよく見える」が最も多く、感染対策と関係がなかった。実際、東京・原宿で尋ねると、女子高校生(17)は「素顔を見せられるクラスメートは5人くらい。今さら外せない」と苦笑した。

孤立し不登校や引きこもりのリスクも

 「マスク依存の子どもが増えている可能性がある」と警告するのは、赤坂診療所(東京都港区)でマスク依存の患者を診てきた精神科医の渡辺登さんだ。従来のマスク依存について「人前に立つことを極度におそれる『社会不安障害』のある方らが、表情を隠すために着用していた」と説明する。依存に陥ると意思疎通が難しく、孤立して不登校や引きこもりになるリスクが増えるという。

 広島県の男子大学院生(23)はコロナ禍前にマスク依存を経験した。「高校入学時に花粉症対策で着用したら、表情を隠せる安心感で外せなくなった」と振り返る。「コミュニケーションに困る」と悩んだ末、大学進学を機に自力で脱却した。国民のほとんどがマスク姿の現状には「望まずに依存する人が増えないでほしい」と願う。

 渡辺さんは「子どもは顔にコンプレックスを抱えている場合も多い。感染対策のはずが、素顔を隠すことに利点を持つと、将来マスクを外せなくなりかねない」と強調。「感染リスクがない時はできるだけ外させた方がいい」と指摘した上で、「着用をやめるタイミングを政府が示してほしい」と求める。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月10日

コメント

  • 子供がマスク依存になってしまってマスクを外したらイジメられるのではと怯えるようになりました。小学生で入学からマスクだったので人生の大半がマスクだったのとマスクしてないと教師に怒られたのが原因のようです
    心配です 女性 30代 
  •  私もマスク依存症です。4月から大学4回生です。  私は中1の頃、同級生にからかわれたことがきっかけで、人前でマスクが外せなくなりました。つまり、コロナ禍前から私は年中マスクを着けていました。  
    こうちゃん9500 男性 20代