〈えほん〉「どんぐり」さく・たてのひろし
長壁綾子 (2023年11月1日付 東京新聞朝刊)
森に風が吹き、木々が揺れる。こずえからどんぐりがぽろぽろと落ちていく。
地面に落ちたどんぐりは、野ねずみや鳥、小さな虫たちに食べられてしまう。だが、芽を出すどんぐりも。そこに、再び動物がやって来て…。
文字を使わず、精緻な絵だけで、巡る季節や生き物の営みを描いた作品。モノトーンの木々や落ち葉の中、茶色く描かれたたくさんのどんぐりも、やがて色を失っていく。そんな中、まぶしい青空や緑の新芽も。生命の息吹を感じさせる。
絵本作家で生物画家の作者が、命の循環を描く。
1980円。小峰書店=電話03(3357)3521。