児童養護施設の虐待疑惑 弁護士会と施設側で食い違い 「調査は適切」「事実ではない」
弁護士会「職員に直接的に『殴ったか』と聞いてないかも」
東弁の会見には、副会長で子どもの人権を担当する池田和郎弁護士ら3人が出席。2015年の人権救済申し立てから2年かけ、ほぼ全ての入所児童から聞き取り、追加の証拠を集めるなどして審議を重ねたとして、「調査は適切に行った」と強調した。
施設側が、東弁は職員への聞き取りで具体的な事実確認をしなかったと主張していることについて、「直接的に(職員に)『殴りましたか?』と質問していないかもしれない」と説明。被害を訴えた児童が不利益を受けないため配慮が必要だったとし、「その他の状況から(事実を)認定した」とした。
「ルールを守らなければ施設にいられなくなる」という内容の誓約書を施設が児童に求めたことでは「(施設にいるのは)行き場のない子。そういう子が誓約書を書かされたら何も言えなくなってしまう。子どもの意見表明権は最大限尊重されなければならず、人権の観点から非常に問題だ」と批判した。
この問題では、東弁への申し立てより前の13年と14年、都は虐待通告を受けていた。
都は施設内で児童に聞き取りするなどして「虐待に当たらない」と判断しており、「子どもが不利益を被ったり、恐れを感じないような調査をしてほしい」と注文した。
施設長「誓約書は常識的」 小池都知事「再調査してみる」
一方、愛児の家の石綿徳太郎施設長は会見で「勧告は受け入れられるものではない」との見解を示した。
職員が児童に「ぶす」などと発言したり、首周辺を絞めて体を押さえつけたりしたと勧告書で指摘された点は「事実ではない」と否定。「(職員は東弁から話を)聞かれていないのに、このような勧告が出るのはどういうことなのか」と疑問視した。
誓約書への署名では「脅したことはなく、大人数で囲んで書かせたことはない」と説明。「誓約書の中身は常識的なもので、どうして権利侵害に当たるのか分からない」と主張した。
東京都中野区の児童養護施設「愛児の家」で職員による虐待があったとして東京弁護士会が是正を勧告した問題で、小池百合子知事は23日、「だいぶ古い話が今また出てきているということなので、あらためて調査してみる」と報道陣に述べた。