<記者の視点>私は「隠れ育休」を選んだが…男性がためらわずに育休を取れる環境が必要だ

木谷孝洋 (2021年5月28日付 東京新聞朝刊)

政治部の木谷孝洋記者

有給とリフレッシュ休暇で約1カ月

 3月下旬から5月の大型連休明けまでの1カ月間余り、育児のための休暇を取った。妻は昨年11月に自費検査で新型コロナウイルスの陰性を確認した上で里帰りし、今年1月に第2子となる次男を出産した。入院中は一切の面会が禁止されるなど不安な中で出産した妻をサポートしたかった。

 育児休業と書かず、「育児のための休暇」と書いたのには理由がある。育児・介護休業法上の育休制度は使わず、年次有給休暇とリフレッシュ休暇をまとめて取ることで対応したからだ。休暇に向けた準備を進める中で、こうした休み方を「隠れ育休」と呼ぶことを知った。

収入減と「職場への負担」を考えて

 なぜ、私は隠れ育休を選んだのか。いくつか理由がある。

 1つは、制度上の育休を取った場合、収入が減る可能性があるためだ。育休中は無給となる代わりに雇用保険から給付金が支払われる。育休開始から6カ月までは賃金の67%で、非課税のため実際のカバー率は8割程度となることが多い。海外と比べて手厚い制度とされているが、収入が減ることには違いない。

 もう1つは、休む期間の短さだ。私の場合、土日を除いて32日間の休暇を取ったが、ちょうど年休などで賄える日数だった。これより長く休む場合は、育休を取っていたはずだ。上司は休暇を取ることを快諾してくれたが、職場への負担を考えると、半年や1年間といった長期の休みを取ることはためらわれた。

57%が年休 育休の取得は1割未満

 調べてみると、こうした隠れ育休を取る男性は少なくない。内閣府が2019年に約1000人の男性を対象に行った調査では、妻の出産後、子育てのために休んだ人のうち、年休を使ったのは57%だったのに対し、育休を取得した人は1割に満たなかった。休んだ日数も10日未満が7割を超えた。

 隠れ育休は、国や企業の育休取得率にはカウントされない。厚生労働省の2019年度の調査では、男性の取得率は7.48%にとどまり、女性の83%と大きな隔たりがある。政府は25年に男性の取得率30%の目標を掲げるが、ためらわずに育休を選択できる環境を整えなければ実現は難しいだろう。

給付金UPと長く休める風土づくりを

 では、どうすればいいのか。1つは、育休に伴う収入減の不安を取り除くことだ。国会で審議中の育児・介護休業法改正案では、給付金を賃金の実質100%まで引き上げる案もあったが、財源難で見送られた。少子化対策に本気で取り組むのなら再度、給付金の引き上げを検討すべきだ。

 もう1つは、男性も長く休めるような風土をつくっていくことではないか。私自身、いざ休んでみるともっと長くても良かったと感じた。子育ても仕事も短距離走ではなく、マラソンのようなものだ。走るペースに緩急をつけられるようなゆとりが職場にも、働く人の心にも欲しいと思う。

コメント

  • 産後のママさんの体調。心の状態。子育てには 一人のお子さんに 2.5人の人手を要することなど、について企業、職場内での研修を切に願います。 身近にあかちゃんがいないまま、ふれあう機会のないまま母親
     
  • 男性の育児休暇を推進する取り組みは必要だと感じます。 私の子も予定日より大幅に早く生まれた低体重児で、母子の心身のコンディションも芳しくないため育児休業を申請しましたが「男性社員が申請した試しがない