吸水ショーツ、月経カップ、妊活支援サービス… 女性特有の悩みを解決する「フェムテック」活用してみて

(2024年2月18日付 東京新聞朝刊)

吸水ショーツの説明をするフェルマータの山本晴香さん

 女性の健康に関する悩みを技術で解決する商品やサービス「フェムテック」の市場が活況だ。19日は、日本フェムテック協会(港区)が普及啓発のため制定した「フェムテックを学ぶ日」。女性の働き方を考える企業や自治体から熱い視線が注がれている。

「仕方ない」と思っていたことが…

 フェムテックは、英語の「female(女性)」と「technology(技術)」を意味する英単語を組み合わせた造語。生理や更年期など女性特有の心と体の悩みを解決する製品やサービスを指す。

 「使うと、今まで『仕方ない』と思っていたことがストレスだったことが分かります」。生理時に使用する吸水ショーツを手に、フェムテックのコンサルタント会社「フェルマータ」(港区)マネジャーの山本晴香さん(25)は説明する。

「フェムテック」という言葉を考案したデンマーク出身の起業家イダ・ティンさん(中)とのトークショーが9日開かれた=港区で

 店舗には、さまざまな色や素材の吸水ショーツをはじめ、月経カップなど国内外から取り寄せたフェムテック商品約100点が並ぶ。骨盤底筋を鍛える商品や服薬チェックの機器もあり、訪れる客の年齢層は幅広い。悩みや年齢に伴う変化に応じた商品選びの相談に応じている。「最近は企業の参入支援や市場調査などの引き合いが増えている」

骨盤底筋を鍛えるグッズなどが置かれた店内=港区で

企業や自治体のサービス導入が増加

 欧米で市場拡大が顕著なフェムテック。日本でもここ数年、新興企業などで排卵日予測や卵巣年齢などの管理アプリ、簡易検査キットなど関連商品やサービスが続々と誕生した。

オンラインで妊活などの相談ができるファミワンのサービス

 妊活と仕事の両立などを支援する「ファミワン」(渋谷区)は、石川勇介代表取締役が自身の妊活でさまざまな課題に直面した経験から2015年に設立。看護師ら専門家が相談に応じるネットサービスをはじめ管理職向け研修や更年期セミナーなどを展開する。企業の福利厚生や自治体の住民サービスとして導入が増え、利用者は約3万5千人。石川代表は「ダイバーシティー(多様性)などの必要性が叫ばれ、需要が急速に高まっている」と話す。

キャリア支援で年2兆円の経済効果

 こうした動きを国も後押し。経済産業省は、健康問題を理由にした女性の離職を防ぎキャリア形成を支援しようと、企業の関連事業について一部経費を助成している。仕事との両立支援により、国内の経済効果は2025年に年約2兆円が見込まれるという。日本フェムテック協会の山田奈央子代表理事は「フェムテックを活用することで、女性がそれぞれのキャリアプランを考える社会になれば」と話した。