働く女性の悩み、企業向け「フェムテック」で解決 セミナーなどで男性の理解も促進

長田真由美 (2023年3月6日付 東京新聞朝刊)
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 月経痛で体調が悪い。でも仕事で病院に行けない-。働く女性のそんな悩みを解決しようと、社内啓発などを進める企業向け「フェムテック」サービスが登場している。企業ぐるみで女性の健康課題に注目し、男性も含めた職場全体の意識と環境を変えることが期待される。

「ルナルナオフィス」右肩上がり

 フェムテックは、英語の「Female(女性)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語。女性の心や体の悩みを技術で解決する製品やサービスのことで、ここ数年で急速に普及している。

 昨年7月から始まった企業向けサービスが「ルナルナオフィス」だ。「月経」「妊活・不妊治療」「更年期」をテーマにした啓発プログラムを用意。女性特有のさまざまな疾患を社内全体で共有し、男性従業員らの意識も変えることを狙う。日本航空やコニカミノルタなど大手企業も導入を進め、契約件数は右肩上がりで伸びている。

女性のライフステージに寄り添う

 名古屋銀行は今年4月から、金融機関で初めてルナルナオフィスを導入する。全女性従業員約650人に意識調査をしたところ、8割が月経にまつわる悩みを抱えていた。導入に関わった法人営業部企画役の宮田愛美さんは「窓口の業務だと自由に席を立てない。商談が長引いたり、男性に同行したりした時は、トイレ休憩のタイミングを言い出しにくいことがある」と話す。「月経プログラム」を導入し、最初は月経のメカニズムやなぜ月経痛が起きるのかといった仕組みを産婦人科医が語るオンラインセミナーを実施する予定だ。

 「女性はライフステージが進むにつれて悩む内容が変わる。それに応じたサービスを提供したいと考えた」と、ルナルナオフィスを運営する「LIFEM(ライフェム)」(東京)社長の菅原誠太郎さん(40)は話す。腹痛や頭痛などが続く月経前症候群(PMS)、妊娠したい時期には妊活や不妊治療、子育てが終わると更年期で健康問題を抱えることも。上司や同僚に相談しにくく、結果的に体調を崩して仕事に支障が出ることもある。

 経済産業省によると、月経に伴うパフォーマンスの低下や欠勤、作業時間の短縮といった労働損失は年間約4900億円と試算されている。女性が働きやすい環境整備を進めると、企業の生産性や業績の向上にもつながるというわけだ。

オンライン産婦人科診療も

 ライフェムによると、過去にセミナーを受講した男性社員から「今まで知る機会がなかった」と声が上がり、体調が悪い同僚を気遣う風土が醸成された企業もあるという。セミナー後、希望する女性は産婦人科のオンライン診療が受けられる。働く女性は「行く時間がない」「待ち時間が長い」などの理由で、医療機関へ行かないことも多い。オンライン診療を企業がサポートする意義は大きい。

 男性から「不平等だ」という声は上がらないのか。「男女に全く同じ対処をする『平等』ではなく、『公平』にしましょうと企業に提案している」と菅原さん。女性は月経や妊娠、出産などでホルモンバランスが大きく変動し、男性より体の不調に苦しむリスクが高い。「そこをカバーすることは『公平』にすること」と話す。「こうしたサービスが全国に広がることで、女性もつらい思いをせず仕事ができ、生産性が上がる。日本全体が良くなるのではないか」

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年3月6日

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