双子・三つ子のママ、パパ集まれ! 多胎児家庭のサークル誕生 「笑顔も2倍。思い詰めないで」
多胎児の5割が早産、7割が低体重 知識があれば
「私が悪いのかな、もう少し何かできなかったのかなとつらかった」。同区のフリーアナウンサー稲垣智衣(ともい)さん(40)は、男児の双子を出産した約3年前を振り返り、声を詰まらせた。
妊娠中、体調が優れない状態が続き8カ月で破水、状況をのみ込めないまま手術台へ。気付いたら2人とも2500g未満の低体重で生まれていた。
多胎児の5割が妊娠37週未満の早産、7割が低体重で生まれる。当時はそうした知識は持たず、急にぺたんこになったおなかを見て、「普通」のお産ではなかったと落ち込んだ。
おむつ替えや授乳、入浴、食事、荷物は常に2人分。出張が多い夫には頼れず、1人が入院すると、家と病院を行き来した。寝不足で、疲れた状態が続いた。1人生まれの家庭と同様に育児しなければと、焦りもあった。
地域デビューしにくい多胎児家庭でつながろう
事前に知識があり、思いを共有する仲間がいれば必要以上に悩むことはなくなる、と感じ今年3月、地域の双子の母親たちと「ツインズタイム」を設立。有志7人でファミリー教室を開く準備を進めてきた。
「多胎児家庭は外出すら難しく、地域に出られるのも出産後時間がたってから。その間に思い詰めてしまう可能性も」と稲垣さん。一方「多胎児家庭は笑顔が2倍、3倍にもはじけるうれしさがある。産んで良かったって思えるよう導きたい」と、ファミリー教室への参加を呼び掛ける。
ファミリー教室は18日午前9時半から、同区の北とぴあ(王子1)で。協会の佐藤喜美子理事が講師を務め、多胎妊娠や出産の基礎知識を紹介。先輩の母親や父親、祖父母との交流もある。参加費は1家族1000円。申し込みは17日まで。
問い合わせは、ツインズタイムへ。
虐待死、1人生まれの4倍も 産後うつのリスクも高く
日本多胎支援協会によると、多胎児家庭は単胎児家庭に比べ、産後うつや児童虐待が増える傾向にあるという。協会が厚生労働省の補助事業として昨年度まとめた調査では、多胎児家庭の虐待死の割合は、単胎児家庭の2.5~4倍になると推定される。
協会の天羽千恵子理事は「妊娠、出産で体力が低下し、授乳などで眠れなくなる。外出困難で引きこもり、行き詰まってしまう家庭は多い」と指摘。妊娠中から出産後をイメージし、家族で計画を立てることで「大変さは変わる。社会資源の利用も積極的に考えてほしい」と話す。
妊婦やその家族を対象とした「多胎ファミリー教室」は、NPO法人「ぎふ多胎ネット」(岐阜県)のプログラムをベースに協会が2015年に岡山県で初めて開催。医療や行政の関係者、先輩当事者が支援する側として参加する特徴がある。取り組みが全国の有志に広がり、協会がノウハウを指導、講師を派遣するなどして、これまでに大阪府や兵庫県など7道府県で開かれてきた。