〈古泉智浩さんの子育て日記〉6・誕生日に贈った傑作映画のラインナップは?

(2019年8月23日付 東京新聞朝刊)

ボールプールを楽しむうーちゃん(下)とぽんこちゃん

うーちゃんは「トトロ」がお気に入り でも恐竜映画は怖い?

 僕は映画が好きです。5歳の養子のうーちゃんにも映画好きになってほしくて、毎年誕生日には年齢に応じた傑作映画のDVDをプレゼントしています。

 1歳の誕生日には恐竜の絵本が原作のアニメ映画『おまえうまそうだな』を贈りました。肉食恐竜のハートが草食恐竜の親に育てられ、里子として育ったハートが後に草食恐竜の里親になるという映画です。自分が里親になる時、この映画にとても勇気づけられました。しかしうーちゃんは恐竜が怖かったようで、最近になって初めて見ました。


〈前回はこちら〉5・食卓のハエに大騒ぎ 怖がりの息子、どっしりした娘


 2歳は『となりのトトロ』でした。最初からすごく気に入って毎日見てくれました。多い日は3回も見るほどで、軽く100回以上は見ています。ただ、物語を自分に重ねて見る体験をしてほしいので、男の子が主人公の映画も好きになってほしいと思っていました。

5歳で見たロボットアニメ 「悲しい話だったね」にびっくり

 3歳は『シュガー・ラッシュ』というCGアニメの映画です。これ以前にテレビ放送された『カーズ』というCGアニメの映画に夢中になり、録画して毎日見ていましたが、主人公が調子に乗った性格で、子どもに見せるにはあまりよくない感じがしました。代わりにレースの映画ですてきな登場人物のこちらを見せると気に入ってくれました。

 4歳は『ドラえもん のび太の恐竜』です。のび太が恐竜を卵から育てると、恐竜がのび太をお父さんだと思います。里親映画の側面があります。しかし全然見たがらなくて、まだ見せていません。僕がちょっと押しつけがましいのかもしれません。

 5歳は『アイアン・ジャイアント』というロボットのアニメ映画です。ロボットが大好きなのですごく集中して見ていました。見終わると「悲しい話だったね」と言います。最後にはロボットと主人公の少年との別れが描かれています。5歳なので「楽しい」「すごい」で終わってもいいのに、物語を受け止めて、感じていることにびっくりしました。

1歳のぽんこちゃんもトトロが…さて、気付いてしまいました

 うーちゃんは、トトロを見る時に「これは怖い話だよね」と言います。確かに主人公の妹のメイちゃんが迷子になる話です。トトロがでかくてえたいが知れず不気味で怖いのかもしれません。1歳の里子のぽんこちゃんは、トトロは一度で好きになって「とと、とと」と呼んでいます。

 さて。困ったことに、ぽんこちゃんには何も選んでいないことに気付いてしまいました。(漫画家)