うそがバレたらどうしよう〈古泉智浩さんの子育て日記〉32
テレビで中川翔子さんを見るたびに
「この人、パパとポケモン交換した人だよね」
小学2年生の養子の男の子・うーちゃんが、テレビに映るタレントの中川翔子さんを指さして言います。ポケモン交換とは、ゲーム「ポケモンGO」で捕獲したキャラクターを交換することです。
うーちゃんがポケモンが好きになった3歳くらいのことでした。テレビに中川さんが出ているのを見て、僕はふと「パパ、この人とポケモン交換したことがあるよ」と言いました。うーちゃんは、ふーんといった反応でしたが、それ以降、テレビに中川さんが出るたびに、「パパとポケモン交換した人だよね」と言います。
ポケモン好き こんなに続くなんて
しかし、実はそれはうそなのです。今から15年ほど前、お世話になっていたゲーム雑誌の担当編集者さんとポケモンの交換をしました。その編集者さんは中川さんの担当もしていて、僕と交換したポケモンを中川さんに見せたと教えてくれました。つまり、僕は中川さんとポケモンを交換したわけではなく、僕が編集者さんに渡したポケモンを中川さんが見ただけなのです。
そんな込み入った話を、まだ言葉もおぼつかない幼児に言っても仕方がないと思ってシンプルに伝えて、シンプルにしすぎた結果、うそになってしまいました。
当時は、まさかうーちゃんがこれほど長くポケモンを好きでいるとは思いませんでした。しかも、うーちゃんは人の顔と名前を覚えるのがすごく得意でしっかりと記憶に刻み込まれてしまいました。うーちゃんはクラスメイト全員の名前と出席番号を、番号順にそらで言うことができます。トランプの神経衰弱も非常に強く、まったくかないません。中川さんがテレビに映るたびに言うので、本当に心がヒリヒリします。バレたらどうしよう。
うそと言えば…ママの「実年齢」は
くだらないうそは他にもあり、「パパはおへそが2つあったけど雷様に取られて1つになった」などは今も信じています。これは冗談みたいなものなので別にいいのです。
ママ(僕の妻)はうーちゃんに年を聞かれても答えないでいましたが、たった1回だけ「26歳」とうそをつくと、それをうーちゃんはずっと覚えていました。しかし、足し算ができるようになって疑問を抱いたうーちゃんにママがとうとう実年齢を告白すると、うーちゃんはなにやら不思議そうな表情をしていました。(漫画家)
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