〈中倉彰子さんの子育て日記〉63・それぞれの新学期

(2018年4月13日付 東京新聞朝刊)

黄色いカバーを外したランドセル 

 新学期が始まりました。シン(7つ)は小学2年生。黄色いランドセルカバーと帽子が愛らしかった1年生が終わり、ちょっぴり寂しい気持ちです。1年生の最後の姿を写真に収めておきたかったのですが、終業式の日も、いつものように「あー、遅れるー」とバタバタと出て行ったので、後ろ姿の写真だけ。始業式の日は、カバーをはずしたランドセルで元気に登校しました。

 次女のマキ(9つ)は4年生。「4年生から、忘れ物ゼロにする!」と力強く宣言していました。おっ、頑張って。ママももう少し確認するようにするね。

中学生は未知

 長女のマイ(12)は、中学1年生。真新しく、センスの良い制服にうれしそう。入学式前日は家の中で、ずっと制服を着て過ごしていました。最近は靴のサイズも私を超え、ちゃっかり私の洋服を着ることもあります。

 オシャレにうるさく、「ママ、その服おばさんぽいよ」なんて生意気な口も。思春期に突入しているので、いつもどこかにけんかの火種が潜んでいます。私の何げないひと言に火がつきバトル、なんてこともしょっちゅう。

 「部屋が片付かない」と嘆いていたので、私が少し片付けておくと、マイは帰ってくるなり、「あーなんでこんなふうにしちゃうの! ママ最低!」と激怒。理不尽な言葉や行動に、「どう考えても私の方が正しいのに。なんで分かってくれないんだろう」と、私もつい同じ土俵に立って言い合いをしてしまいます。

 このままバトルを続けていては、こちらの体力も持ちません。私にとって、中学生を育てるのは未知の世界。本を読んだり、先輩ママからの体験談を聞いたりして、ホルモンの影響や成長段階など、子どもの行動にさまざまな理由があることを学んでいます。

 思い返せば、私も父によく口答えをしていました。わが家は「将棋」中心の生活だったので、将棋の技術的なことや練習についても、よく父とぶつかっていたのです。今は、将棋の仕事ができるのは父のおかげ、と感謝していますが、思春期は、感謝の「か」の字もなかった気がします。

 今は、「親になると親の大変さがわかるもんだよ」なんて言っていた父の気持ちも少し分かります。小学生の時とは違った問題や悩みが出てくると思いますが、親としては、元気で楽しく学校生活を送ってほしいと願うばかりです。 (プロ棋士)