〈中倉彰子さんの子育て日記〉64・スマホデビュー 悩み尽きず

(2018年5月18日付 東京新聞朝刊)

中倉彰子さんの子育て日記

 「スマホ(スマートフォン)を持ちたい」。長女マイが言い出したのは、中学校進学を控えた3月ごろ。その瞬間、私の気持ちは「絶対だめー! まだ早い!」でした。どう考えたって、マイナスの要素が多いと思ったからです。 

 ただ頭ごなしに反対してもと思い、ほかのお母さん方に聞いてみると、連絡手段として持たせている家庭もちらほら。マイの「だってみんな持ってるもん!」というのは子どもの常とう句とはいえ、女の子ならではの「友人とつながっていたい」という思いもあるようでした。

さじ加減

 調べてみると、時間制限や年齢に応じたアプリのダウンロード、ネット制限などのサービスもあるスマホもありました。家族会議で何度も話し合い、ルールを守ることを条件にデビューさせてみることに。ルールが書いてある紙の最後の項目は「これからも3人(マイ・パパ・ママ)で話し合って決めていく」にしました。

 この機会に、私自身のスマホの使い方も振り返ってみました。マイのルールを守ってみると、寝る前の時間に読書ができたり、寝る時間が早くなったりする効果が! 私も知らず知らずのうち、スマホ漬けの生活になっていましたね。「ママ、スマホばっかり」と子どもたちに注意されたこともありました。

 子どものスマホデビューに悩む親御さんは多いのではないでしょうか。私も本当にこれで良かったのか、甘かったのか-。今も自問自答の日々です。子どもの気持ちを尊重しつつ、ダメなものはダメときっぱり言う部分、妥協する部分など、さじ加減が難しいなと感じます。

中盤

 子育ても1局の将棋のように「良い局面」「悪い局面」「悩みどころの局面」があるのかもしれません。1局の将棋は「序盤→中盤→終盤」という流れがあります。子育てのゴールを20歳と仮定したら、現在12歳のマイの子育ては「中盤戦」でしょうか。

 定跡といわれる型を作り、駒組みが終わり、これからどう攻撃を仕掛けるか、駒の交換や相手に手を渡した方が良いか、など一気に考えることが多くなるのがこの「中盤」です。難所の中盤戦を、自分なりに考えて乗り越えたいものです。(プロ棋士)

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