車いすで快適?不便? 川崎の小学生が等々力競技場をチェック バリアフリーマップ作り
高橋ななみ (2020年2月6日付 東京新聞朝刊)
川崎市立中原小学校(中原区)の4年生約120人が、中原区の等々力陸上競技場スタンドのバリアフリーマップ作りに取り組んだ。車いすを押しながら施設内の廊下やロッカールームなどを回り、障害がある人が快適に使用できるかどうか調べた。
「自販機のボタンに届かない」「ロッカールームのハンガー使えない」
児童たちは6~8人のグループに分かれて調査。「ちょっとした段差で車いすは止まる」、「ロッカールームのハンガーを使えない」、「自動販売機のボタンに届かない」など、次々に不便な点を見つけた。
一方で多機能トイレでは手が洗いやすいことや、自動販売機に点字があることも発見。中原区に本店・川崎工場がある富士通が貸し出したタブレット端末で写真を撮り、メモをし、マップ作りに生かした。
パラリンピック代表も講演「『お手伝いしましょうか』と声掛けて」
調査の前にはウィルチェアーラグビー・リオパラリンピック日本代表の山口貴久さん(38)の講演を聴き、障害者への理解を深めた。山口さんは19歳の時に交通事故で首の骨を折って歩けなくなり、車いすでの生活になったという。山口さんは「『大丈夫ですか』と聞かれるとつい、『大丈夫です』と答えてしまう。車いすの人を見かけたら、『何かお手伝いしましょうか』、と声を掛けてほしい」と呼び掛けた。
児童の一人、渡辺萌(めい)さんは「障害のある人は大変だと思う部分がたくさんあった」と学んだ様子。黒田扇助(おうすけ)さんは「町で困っている人がいたら、声を掛け、手伝ってあげる」と力を込めた。
イベントは、川崎市と富士通の連携事業。上杉圭祐教諭(23)は「グループで協力し合い、気付いたことを伝え合っていたことも良かった。楽しそうにやっていた」とほおを緩めた。