ベビーカーとは違う「子ども用車いす」知ってほしい 重く、畳めない…病気の子を育てる親たちが訴え「互いを思いやる気持ちも広がれば」

平井一敏 (2020年1月24日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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「子ども用車いすを知ってほしい」と話す榎本圭那さん(右端)ら=愛知県尾張旭市で

 病気や障害のある子が使う「子ども用車いす」。車いすと聞くと、使う人が自分で車輪を回して進む姿を連想しがちだが、介助する人が後ろから押して動かすバギー型も少なくない。幼い子どもがバギー型に乗っていると、見た目はベビーカーそっくり。街中などで周りの人に誤解され、つらい思いをする利用者も多いようだ。

バスで誤解され、乗車をあきらめたことも

 バギー型の車いすを使っている子どもの多くは、体全体が不自由で、自力で立ったり座ったりすることができない。子どもの姿勢を安定させ、さらに人工呼吸器などの医療機器を積んで移動できるよう車体は頑丈にできており、重さは10キロ以上。ベビーカーのように簡単に折り畳むことはできず、畳んだとしても介助者が子どもの体を支えることは難しい。

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子ども用車いすを説明する藤井基弘さん=愛知県小牧市の松本義肢製作所で

 「ベビーカーを畳んで」。愛知県瀬戸市の戸高美陽子さん(38)は数年前、バギー型車いすを使う長女とバスに乗ろうとした際、勘違いをした運転手に言われ、乗車をあきらめたことがあったという。現在9歳になる長女は、先天性の難病で肢体不自由だ。病院などの障害者用駐車場に車を止めた時に、車いすをベビーカーと思った警備員らからとがめられたことも。「ひと言ひと言がぐさっときた」と振り返る。

カラフルでおしゃれ 判別しにくいものも

 国内外の子ども用車いす約10種類を扱う松本義肢製作所(同県小牧市)の義肢装具士、藤井基弘さん(51)によると、車いすは医師の指示をもとに、子どもの状態に合わせて既製品をアレンジして提供している。値段は1台20万~30万円で、障害者手帳を取得すれば購入にかかる負担は1割で済む。義肢装具大手の同社では、年間約400台を販売しているが、最近はカラフルでおしゃれなデザインが増えたことなどから、いっそうベビーカーと判別しにくくなっているという。

 低い認知度に苦しむ保護者たちの声を受け、国土交通省は2018年4月、子ども用車いすの利用者に配慮するよう全国の公共交通関係団体に呼び掛けた。車いすの写真などを示した啓発ポスターを4万2000枚作り、昨年9月から各鉄道、バス会社などに配布。名古屋市交通局は市営地下鉄の85駅に掲示したほか、乗務員には利用者の乗車を妨げないよう指導している。

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国交省が作った子ども用車椅子への理解を呼び掛けるポスター

肢体不自由の18歳未満の子は7万7000人

 長女(4つ)が難治性てんかんで、1年前からバギー型車いすを使う同県尾張旭市の榎本圭那さん(30)は「最近はバスの運転手に車いすだと伝えれば、スロープを出してもらえる」と認知の広がりを喜ぶ。一方で、一般の人たちへの浸透はまだまだ。今も物珍しそうに娘を見る目を感じるという。

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バギーマーク(NPO法人ソルウェイズ)

 榎本さんは、夫の真一さん(35)と車いすに表示するマークを考案。ラミネート加工した10センチ四方のマークを昨年4月から希望者に無料で配っている。これまでに100枚以上を配布した。同様のマークは一般社団法人「mina family(ミナファミリー)」(大阪市)など他の団体も作製し、周知を図っている。

介助用車いすマーク(榎本さん夫妻作製)

こども車いすマーク(ミナファミリー)

 国によると、肢体が不自由な18歳未満の子は約7万7000人。車いすは、これがないと移動ができない子どもたちが使っている。体の不自由な子どものママサークルあっぷるの代表も務める戸高さんは「子ども用車いすのことを知ってもらうだけでなく、互いを思いやる気持ちも広がれば」と願う。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年1月24日

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