夫婦で育休取得、手取り減を抑えるには? 「給付率67%期間を交互に」と「2人で一緒に」の具体例を解説
育休を取るには
原則1歳未満の子どもを育てる雇用保険加入の労働者が取得できる。雇用形態は正社員に限らず、契約社員らを含む有期雇用者で休業を申し出た時点で子が1歳6カ月になるまでに契約満了が明らかでなければ取得可能。
6カ月は手取りの8割、その後6~7割
取得により、収入にはどれほど影響が出るのか。前田さんによると、育休開始から通算180日(6カ月)は休業前の手取りの8割、181日以降は休業前の手取りの6~7割程度と考えるといい。
育休給付金は、通算180日(6カ月)は給与の67%が雇用保険から支給され、181日以降は50%になる。この給付金と、産休中に健康保険から支給される出産手当金は、いずれも社会保険料や税金がかからない。手取りにすれば休業前と比べ、出産手当金の期間は約2割減、育休給付金は2~4割減ほどとなる。
影響が小さいのは「交互取得」だけど…
前田さんによると、家計への影響が小さくなるのは、給付率が67%となる期間を夫婦が交互に取得する方法。具体的には、妻が産休取得後に育休を6カ月取得して復職する。夫は法改正で創設された、子の出生後8週間以内に最大28日取得できる「産後パパ育休」を取って復職し、妻の復職時期に育休を取得する。
額面上の月給が夫は30万円、妻は25万円の共働き世帯で前田さんに試算してもらった。妻は産休と育休の間は手取りで月約17万、夫は産後パパ育休と育休中の間は月約20万円となる。交互に取得すれば合計約37万円の期間は28日に抑えられる。
ただ、離婚相談も受けている前田さんは、この方法は「お勧めしない」ともいう。「2人同時に子育てする時間を持つことが長期的にみると家計面にプラス」と指摘。離婚相談者の多くが1人で育児をする「ワンオペ育児」を経験しており、育児経験の共有も大切だとする。
お勧めは「夫婦一緒に、長く取得」
前田さんが「お勧め」するのは、妻が1年、夫は半年取得する②のパターン。しかし、保育園入園に向けた「保活」や仕事の調整、妻の心身不調などで思い通りにはいかないという。「夫婦一緒に長く育休を取って『この子のためのお金をどうしようか』と話すきっかけにしてほしい」と話す。
一方、半年を超えて夫婦で取得する場合は、支出に注意が必要だ。貯金が少ない場合は「少なくとも1割程度の支出削減を心がけた方がいい」と話す。
2025年4月から給付率引き上げ
国は、2025年4月から育休給付金の給付率を引き上げて、特に男性の育休取得を促す。夫婦で14日以上の育休を取得すると最大28日分は、手取りが現行の8割相当から10割に増える。前田さんは「育休を延ばすきっかけになるかもしれない」と指摘している。
復職時にトラブル 相談相次ぐ
東京都労働相談情報センターによると、2022年10月に産後パパ育休が創設され「どのようなタイミングで取得したら良いか」「自分は使えるのか」など制度や利用方法に関する相談が増えている。
一方、育休取得後、職場へ戻る際にトラブルが起こることも。都が労使間の調整に入った「あっせん」事例では、「『保育園が決まっていないと復職させない』と会社に言われた」というケースがあった。会社に入園手続きのための就労証明書を出すよう伝えたことで解決したという。
このほか、復職時に本人が望まない部署に配属されたとの相談も寄せられている。センターの担当者は「会社側は労働者に配慮したというが、労働者にとっては嫌がらせをされたと受け取る」と指摘。会社側が復職時の本人の意向確認をしたり、労働者側も働き方の希望を伝えたりしておくことが大事だと助言する。
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知りたい
ファイナンシャルプランナーなのに、保育園代のことを考慮してないね。
夫婦ともに1年育休が最適解。保育園代4〜5万円が浮く。しかも、住民税非課税。
育休を取るには
原則1歳未満の子どもを育てる雇用保険加入の労働者が取得できる。
と記載されていますが、育児休業自体は雇用保険に加入していなくても取得できます。雇用保険育児休業給付金はもちろん雇用保険に加入している必要がありますが。
雇用保険に加入していなければ、そもそも育児休業を取れないとも読めてしまいます。