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「VERY」に載るということ

 人気のファッション誌「VERY」(光文社)に今月、東京都世田谷区の友岡宏江さん(38)、長女の寿音(じゅの)さん(8つ)親子が登場しているのを見つけました。重い障害がある寿音さんと友岡さん親子の歩みを紹介する見開き4ページにわたる特集記事。2人の写真を見ながら、以前取材した時に「社会の一員としてこういう子どもがいることをもっと知ってもらいたい」と友岡さんが話していたのを思い出しました。

友岡宏江さん(左)と長女の寿音さん=2018年8月、東京都世田谷区で(松崎浩一撮影)

(友岡さんを取材した記事はこちらです。「母がつくる、医療的ケア児の放課後の居場所 世田谷でデイサービス準備中」

 寿音さんは、染色体異常の一つの「13トリソミー」で、心臓などに重い障害があります。言葉も話せず、食事も鼻からチューブで取る生活です。たんの吸引など日常生活で医療的なケアも必要な「医療的ケア児」である寿音さんの子育てでぶつかるさまざまな壁を、友岡さんは仲間とともに突破してきました。そして、特別支援学校小学部に通う寿音さんの居場所をつくろうと昨年12月、重い障害のある子も放課後などに利用できるデイサービス施設を区内に開設したのです。

 友岡さん親子がファッション誌で大きく取り上げられたことに、同じく障害のある子を育てるお母さんたちがわが事のように喜んでいたのも印象的でした。

 その1人、東京都中野区の福満美穂子さん(46)は「医療的ケア児がファッション誌に載るなんて。ノーマライゼーション(障害者も地域で他の人たちと同じように生きる社会を目指す考え方)が当たり前になっている。社会の目が変わってきていると実感した」と話します。
 
 長女華子(かこ)さん(15)も医療的ケア児。生まれた時に原因不明の低酸素性虚血性脳症になり、脳性まひに。人工呼吸器を着け、たんの吸引なども頻繁に必要です。30回以上の入退院を繰り返しながら、気管切開の手術も経て今に至ります。「地域で重い障害がある子どもや大人が生きていくには、まだまだ支援者が足りません。ファッション誌で紹介されたことで、少しでも多くの人が関心を寄せてくれたら」

 昨年は「生産性」という言葉を政治家が使い、批判を浴びました。LGBTなど性的少数者に向けた言葉でしたが、この時、障害のある人からも抗議の声が上がりました。

 友岡さんは以前の取材で、「寿音は生きているだけで周りにパワーをくれる。娘のような子が生きやすい社会にするためにも頑張りたい」と話してくれました。命は、そこにあるだけで尊い。年の初め、誌面の中の友岡さん親子の笑顔を見て、声を上げられない子どもの視点に立って考えることの大切さをあらためて心に留めました。