母がつくる、医療的ケア児の放課後の居場所 世田谷でデイサービス準備中

(2018年9月17日付 東京新聞朝刊)

医療的ケア児のデイサービス施設の開設を準備している友岡宏江さん(左)と娘の寿音さん=東京都世田谷区で(松崎浩一撮影)

 病気や障害で日常的にたんの吸引や酸素吸入など医療的なケアを必要とする子どもたちが増えている。医療の進歩で、以前なら助からなかった多くの命が救われるようになった成果だが、特別なニーズを抱えているため、受け入れる保育所や学童用の施設は依然として少ない。「ならば自分たちでつくろう」と、東京都世田谷区では、保護者たちがデイサービス施設をつくる準備を進めている。12月の開所を目指す。

住み慣れた地域で過ごしたい

 施設を準備しているのは、保護者でつくるNPO法人「Ohana kids(オハナキッズ)」。世田谷区の介護事業所などが入る共同住宅「FLAT松陰」の1室に開き、ゼロ~18歳を1日5人まで受け入れる予定だ。

 保育所や学童保育のようなイメージで、子どもたちは学校がない時間帯、ここに来て体を動かしたり創作活動したりする。看護師や保育士、作業療法士ら専門職員が、子どもの体調や状態に応じて活動プログラムを作る。

 理事長の友岡宏江さん(37)=世田谷区=は、「子どもたちが住み慣れた地域で生きていくための居場所になれば」と願う。

自身の子育てで感じた思いを形に

 開設を思い立ったのは、自身の体験から。長女寿音(じゅの)さん(8つ)は、重い心臓疾患などを伴う染色体異常の「13トリソミー」で、出生直後、医師から「長く生きられない」と告げられた。「絶望したが、小さい体で頑張る姿を見て、一日でも長く生きてほしいと思った」と振り返る。

 友岡さんはひとり親で、実家も遠く、1人での子育て。寿音さんは上あごにも障害があり、1日に6回、鼻からチューブで栄養剤を注入し、1時間ごとにたんの吸引が必要だった。発作の度に酸素吸入し、24時間、気が抜けない。働こうにも預かってくれる施設はなく、貯金を取り崩した。「他の大人と話すこともなく、孤独だった」

 親子で密着し社会との接点の少ない生活は、子どもの自立も妨げると感じ、同NPO法人を立ち上げるとともに保育士とヘルパーの資格を取得。施設の設立を目指してきた。

 開設には、バリアフリー化の内装工事や昇降機の設置などの費用が足りず、インターネットのクラウドファンディング「Ready for」で28日まで支援を募っている。目標額は400万円。

施設が入る予定の「FLAT松陰」

医療的ケア児は10年で1.8倍…預け先まだ不足

 厚生労働省によると、医療的ケア児は2016年度時点で推計1万8000人余(0~19歳)と、10年で約1.8倍に増えた。出生後、新生児集中治療室(NICU)などへ長期入院して救えるようになったことが大きい。

 しかし、こうした子どもたちを預けられる施設は不足している。対応できる看護師や保育士が少ない上、利用者が体調を崩して当日キャンセルも出やすく、施設の運営が楽ではないためだ。

 友岡さんによると、医療的ケア児を対象にしたデイサービス施設は全国で460施設ほどとされるが正確な数は不明。世田谷区では、区が把握している小学生以上の医療的ケア児は約60人。小学生以上が利用できケアも受けられる施設は、2カ所で定員は計10人という。

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