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医療的ケア児と歩む㊥ 親子の自立 支える場を

(2018年2月9日付 東京新聞朝刊)

 障害の重い子の親も、社会とつながりたい-。福満美穂子さん(45)=東京都中野区=は3年前、保護者仲間2人と区内に医療的ケア児も安心して預けられる「地域の居場所」を作った。重度の知的障害と身体障害がある子を対象とした放課後等デイサービス事業所「おでんくらぶ」だ。

社会とつながりたい

 平日午後2時半。特別支援学校から送迎車に乗り、子どもたちが施設に到着した。車椅子から抱えられてマットに移ると、待機する看護師が体調を確認する。

 施設はNPO法人「なかのドリーム」が運営し、1日の定員は5人。たんの吸引やおむつ替えを終え、職員がギター片手に歌いながら一人一人の名前を呼びかけた。児童指導員ら職員はそれぞれの子に付いて体を支える。返事をする子、笑顔を見せる子もいる。

写真は「おでんくらぶ」で看護師らに付き添われて音楽を聴く子どもたち=2017年10月、東京都中野区で

「おでんくらぶ」で看護師らに付き添われて音楽を聴く子どもたち=2017年10月、東京都中野区で

親子の自立を支える場

 福満さんの長女華子(かこ)さん(14)も医療的ケア児で、月3回ほど利用する。学校に通えない華子さんには、同世代と接する貴重な場。「お姉さんの表情をしてると職員さんに言われる。楽しそう」と福満さん。預ける間、働きに出る親もいる。

 しかし、専門資格のある職員の確保や運営費の課題が大きく、医療的ケアのできる施設は少ない。中野区では、放課後等デイサービス事業所18カ所中、重い知的障害と重い身体障害が重複してある子が通える施設は、ここを含めて2カ所。おでんくらぶには、近隣3区からも利用がある。大半の子が医療的ケア児で、1対1の見守りが必要だ。

職員確保や費用の壁も

 管理者の今馳直樹さん(56)は「体調を崩しやすい子たちなので、当日キャンセルも多い。職員の調整は大変です」。看護師の田中智美さん(41)は「医師がいない場での体調急変時の判断は難しい」と話す。

 都市部は、人件費や家賃、送迎車の維持費など経費も高い。親の負担を考えて送迎もするが、送迎車が1台しかないため、民間の福祉タクシーを頼み、職員が同乗する。1回3000円余が施設負担だ。寄付金などでまかなっているが、今馳さんは「ここは子どもたちが社会性や生きる力を身に付ける場。親子の自立を支えていきたい」。

放課後等デイサービス

 就学している障害児を対象に、放課後や夏休みなどの学校休業日に、自立した日常生活を営むために必要な訓練、創作活動、地域交流の機会などを提供する場。2012年に児童福祉法に位置付けられた。1カ月の利用日数は支援の必要性などから自治体が決定。利用料は原則1割が自己負担で、残り半分を国、4分の1ずつを都道府県と自治体が負担する。