横浜市立校、子どもを緊急受け入れ 静かな教室に緊張感「友達と離れて座る」「1人で遊びましょう」

杉戸祐子、吉岡潤 (2020年3月5日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため市立学校全510校が臨時休校している横浜市で、家庭で対応できない児童らを学校で預かる「緊急受け入れ」が始まった。いつもの1割くらいの児童らが離れて座り、自習に取り組む教室は静かで、緊張感が漂う。 

マスクをして離れた席に座り、自習する子どもたち=横浜市金沢区で

約1割の生徒が登校 1人遊びにはけん玉、かるた

 4日朝、金沢区の六浦小には1~3年の児童計21人が登校した。手洗いをし、アルコール消毒液を手に塗り込んでから教室に入り、間を空けて着席。朝の体温を記した健康観察票を提出し、家から持ってきた漢字や計算のプリントなどに取り組んだ。

 「なるべく友達と離れて座りましょう」「中・昼休みは校庭で遊べますが、1人でできる遊びをしましょう」。2年生の教室の黒板には注意事項が並んだ。あまり声を掛けないようにしたという鎌田清志教諭は「子どもたちは緊張感を持って登校している」と話す。

 登下校時や昼休みには窓を開けて換気。1人で遊べるけん玉やかるたを準備した。大谷珠美校長は「感染対策を万全にした上で普段と変わらない時程で過ごし、基礎学力をつける機会にしてほしい」と願う。

保護者は歓迎「学校は安全」「預けられなければ…」

 児童や保護者からは歓迎の声が上がる。3年の粳賀萌依(うるがめい)さん(9つ)は「学校は安全だし、みんなと勉強できるから来られる方がいい」。1年の男子児童を送ってきた母親(39)は「預けられなければ、仕事を休んだり祖父母に頼むしかないので、緊急受け入れはすごくありがたい」と話し、小走りで仕事に向かった。

 緊急受け入れの対象は小学1~3年のほか、小中学校の個別支援学級(全学年)と特別支援学校(全学部)の児童・生徒。市教育委員会によると、臨時休校初日の3日は計約9000人が利用し、利用率は一割程度。小中学校企画課の石川隆一課長は「これまでにない状況で保護者がどう判断するか、全く読めなかった。今後も推移をみながら運営する」と話す。

茅ケ崎市では明日から 学童保育の低学年を学校で受け入れ

 茅ケ崎市教育委員会は4日、小中学校が臨時休校中の6~25日、公設民営の児童クラブ(学童保育)に通う小学1~3年の児童らを午前8時半から学校で受け入れると発表した。

 2日に臨時休校に入ったが、児童クラブは職員の確保が難しいことから、開所は午後1時になっている。市教委は文部科学省による「学校施設の活用」の通知を受け、学校で受け入れ、教職員が付き添うことを決めた。児童は児童クラブが開くまで学校で過ごせるようになる。

 児童クラブの児童に加えて、保護者の事情で自宅で過ごすことが困難な1~3年の児童や小中学校の特別支援学級の児童・生徒も希望すれば、学校で受け入れる。 

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年3月5日