新型コロナで休校 困った親子に支援あれこれ 居場所や教材、宅配弁当も

奥野斐、宮本隆康 (2020年3月3日付 東京新聞夕刊)
オンライン学習アプリ「N予備校」で講師による生授業を配信している画面(ドワンゴ提供)

オンライン学習アプリ「N予備校」で講師による生授業を配信している画面(ドワンゴ提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止で、全国の小中高校などが臨時休校になったことを受け、働く親やその子どもを支援する動きが広がっている。東京都足立区では、地元のNPOなどが緊急で子どもの居場所を設けた。企業も家庭学習教材の無償提供や、弁当の宅配などを始める。

NPOや企業が協力 足立区に”居場所”  

 足立区ではNPOや企業など約30団体が、3日から区内の事務所やカフェ計3カ所を「子どもの居場所」として開放し、うち2カ所で宅配弁当を無償提供する。原則、平日午前9時から午後4時か午後5時までで、利用できるのは、区内の小学1~3年の子を持つひとり親、共働き家庭。NPOスタッフらが見守る中、子どもたちの遊び場や学習の場として利用できるようにする。

 足立区は、就学援助を受ける家庭の割合が国平均の約2倍と、都内でも貧困家庭の割合が高い。事務局の中島晃一郎さん(31)は「学童保育にも待機児童がおり、預け先や給食がなくて困るという親子を助けたい」と話す。食材費などの50万円はインターネットのクラウドファンディングで寄付を募った。

教材お届け オンライン学習アプリも

 家庭での学びをサポートする企業の取り組みも始まっている。

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無料提供される教材「まなびwith」(小学館集英社プロダクション提供)

 小学館集英社プロダクションは、通信教育「まなびwith」の年少~小学生向け教材を会員以外にも無料で提供。「急な長期休みで学習に不安がある保護者も少なくない。少しでも楽しく学習してもらえたら」と担当者は話す。

 高校生向けでは、ドワンゴが通信制の「N高校」で導入しているオンライン学習アプリ「N予備校」を無償提供する。スマホやパソコンで授業の動画や教材を見ることができるほか、講師に直接質問ができるライブ配信の授業も受けられる。

ワタミの弁当 子のいる家庭に提供 

 働く親にとっては留守番する子どもの食事も悩みの種だ。そんな中、ワタミは、主に高齢者向け宅配弁当を、9日から高校生までの子どもがいる家庭に1食200円で提供する。担当者は「偏った食事にならないよう、栄養バランスを考えた弁当を生産上限まで提供したい」と言う。

ワタミが1食200円で提供する宅配弁当(ワタミ提供)

ワタミが1食200円で提供する宅配弁当(ワタミ提供)

 助け合いの輪を広げる後押しをする企業も。知り合い同士の預け合いをマッチングするアプリ「子育てシェア」を展開するAsMama(アズママ)は、初めて「預かるよ」と登録し実際に支援した人を対象に、総額100万円の報奨を支給する。同社の井上まきさんは「こういう時こそ地域のネットワークを強め、前向きに乗り越えるきっかけになれば」と話した。

◇企業などの支援例
あだちっ子見守りプロジェクト 3日から足立区梅島、北千住地区の計3カ所に子どもの居場所を設置。 2カ所では宅配弁当を無償提供。区民限定で事前登録が必要。詳細は「あだちっ子見守りプロジェクト」へ。
東京子ども図書館(中野区) 職員らによる本の読み聞かせなどの動画をYouTubeで配信。第1弾として「エパミナンダス」を公開。
小学館集英社プロダクション 通信教育「まなびwith」の小学1~6年向け教材の3月号を3月末までホームページで公開。 会員に限らず、年少~小6の昨年4月~今年2月号までの希望号1人1冊を無料提供。
ワンダーラボ 5~10歳向け知育アプリ「シンクシンク」を3月末まで無償提供。 1回3分のミニゲームで、有料分も含めた約100種類、1万5000問を収録。1日3プレイまで。
知育アプリ「シンクシンク」の画面イメージ(ワンダーラボ提供)

知育アプリ「シンクシンク」の画面イメージ(ワンダーラボ提供)

どうせYouTube見るなら「科学」を楽しんで おすすめ動画60種を公開

 臨時休校で自宅で過ごす小中高校生向けに、全国の大学や研究機関の広報担当者有志が、お薦めの科学関連動画を集めたインターネットサイトを開設した。

全国の大学や研究機関の広報担当者有志が、お薦めの科学関連動画を集めたインターネットサイト

 サイト名は「休校中の子供たちにぜひ見て欲しい 科学技術の面白デジタルコンテンツ」。物質・材料研究機構(つくば市)や基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)、東京大などの広報担当者らが、子どもたちに見てほしい所属機関の動画を選んだ。まず10数機関が計約60種類を公開した。

 素粒子観測のスーパーカミオカンデやロボット、さまざまな実験の動画をはじめ、深海や宇宙のVR(仮想現実)映像、「遺伝で決まること決まらないこと」の講演などを見ることができる。

 基礎生物学研究所の広報担当者が「自分の子どもが自宅で過ごす際、こんなサイトがあったらいい」と発案。各機関の広報担当者ら有志でつくる「科学技術広報研究会」が急きょ、2月29日から公開を始めた。

 研究会には約80機関が加盟しているといい、事務局では「動画の種類は用意ができ次第、順次増やしたい」としている。

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  • 匿名 says:

    高校生の、二人の子供は昼夜逆転で!生活が早寝早起きから、怠惰な状態になり、私が仕事帰ったら友達とゲーム大会、髪染めし、家も汚す、やりたい放題でほんと困ってます。

      

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