運動会を教室に生中継! 密を避けて一体感 墨田区立小と大学がICTで連携

長竹祐子 (2021年6月1日付 東京新聞朝刊)

1年生による集団演技をライブ中継する大学生(手前)=墨田区で

 墨田区立曳舟小学校が5月29日、区内に昨年開学した情報経営イノベーション専門職大学(iU)の情報通信技術(ICT)を生かし、校庭での運動会を各教室にライブ中継した。墨田区が進める「大学の知」を教育現場に生かす取り組み。コロナ禍で校庭に集まらなくても子どもたちは一体感を持って運動会を楽しんだ。

大学の地域貢献 学生14人、カメラ3台

 曳舟小学校での運動会は昨年から、新型コロナ感染防止のため、1学年ずつ入れ替えで実施する方式に。出番以外の学年の児童は教室で過ごすことになった。

 吉岡大司(だいじ)校長は、「コロナ禍でも、皆が楽しめる工夫ができないか」と、iU側に相談。「大学のICTを生かして地域貢献できれば、学生たちにとって大きな学びの機会になる」(岡田倫太郎ユニット長)と快諾され、昨年10月の運動会で学生らによるライブ中継が初めて実現した。

校庭で行われている運動会のライブ中継を教室で見る曳舟小の児童たち=墨田区で

 29日の運動会では、前回の経験から通信回線を改善して、よりなめらかな映像で中継。大学生ら14人が校庭で3台のカメラを駆使し、徒競走や集団演技を撮影した。

教室で観戦 「誰が1位か分かっていい」

 出番以外の児童らは各教室の電子黒板に映し出されたライブ感のある映像を観戦し、他の学年が走ったり演技したりする様子を見守り、「すごい」「がんばれ」と、声援や拍手を送った。徒競走の映像を見た3年の大崎陽春(ひなた)君(9)は「教室にいても、誰が1位になったか分かっていい」とにっこりした。

 墨田区は、iUや今年4月に墨田サテライトキャンパスを開設した千葉大との連携を進めている。千葉大には、区や千葉大、iUなどによる総合的なまちづくり研究拠点「アーバンデザインセンターすみだ」を設立。大学の持つ資源を、墨田区の教育、健康、環境の現場に生かす。また、iUは、プログラミング教育の支援や、夏休み1日大学体験、不登校生徒の支援などを展開していく。 

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年6月1日