3年かけて学んだSDGs 藤沢市の中学校で卒業前に成果発表会  

(2022年3月15日付 東京新聞朝刊)

「卒業後も学び続けたい」と話す生徒らと真下教諭=藤沢市の市立長後中学校で

 3年間かけて持続可能な開発目標(SDGs)について学んできた藤沢市立長後中学校の3年生が今月、学習の成果を発表する催しを開いた。授業で協力してもらった市民団体や高齢者施設などの活動を紹介する展示ブースを開設。クイズ形式や体験型など工夫を凝らし、訪れた地域の人たちに学んだことや感じたことを伝えた。

高齢者福祉、フェアトレード…

 3年生は1年次からSDGs学習を継続しており、卒業式間近の5日、集大成として催し「地域貢献 SDGs縁日」を開いた。授業の中でSDGsに関わる取り組みをしているさまざまな団体を取材訪問しており、催しではグループに分かれ、各団体の取り組みや自分たちが学んだことを紹介する展示を企画した。

 藤沢市老人福祉センター「こぶし荘」を紹介するブースでは、車いすに乗ったり視界が黄色く曇る眼鏡をかけたり、来場者に加齢に伴う身体の変化を疑似体験してもらった。担当した吉留汐音さんは「高齢者がどう見づらくなるのか、来場者に学んでもらえた」。神奈川県ユニセフ協会の紹介ブースでは「フェアトレードとは何か」などのクイズを用意。有働由美さんは学習を振り返り、「テレビでしか見たことのなかった貧困を身近に考えられた。身の回りで困っている子がいたら助けてあげたい」と話した。

介助犬が車いすの移動をサポートする様子を体験する生徒 =藤沢市の市立長後中学校で (同校提供)

「終わりにせず、学び続けたい」

 3年次に取り組んだテーマは「平和」。昨年5、9月と2度延期になった広島への修学旅行を先月末に実施し、原爆慰霊碑などを巡り、語り部の講話を聞くことができた。今回の展示には間に合わなかったが、曳地青澄(あずみ)さんは「平和学習の前は日本は被害国だと思っていたが、他国への加害国でもあると学んだ。被害国でも加害国でもある私たちが、戦争の悲惨さを伝えたい」と話した。

 催しの実行委員長の寺井ななみさんは「まだSDGsという言葉しか知らない人もいる中で、自分たちはいろんな団体を訪問し、3年間しっかり学べた。これで終わりにせず、学び続けたい」と将来を見据えた。真下(ましも)純教諭は「いずれ社会に出るときにSDGsを知っているか知らないかで、社会に参画する意識が違ってくる。最前線で活躍する人たちの思いに触れ、大きく成長した」と目を細めた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年3月15日