都立高入試のスピーキングテスト、導入中止を求める署名2万3600筆 広がる反対運動
三宅千智 (2022年11月9日付 東京新聞朝刊)
東京都教育委員会が27日に行う中学3年生の英語スピーキングテストについて、英語教育の関係者らが8日、来年度の都立高入試の評価資料として使わないよう求める署名約2万3600筆を都教委に提出した。テストの入試活用に反対する署名や声明は、保護者や教員、法曹界にも広がっているが、都教委は実施の方針を変えていない。
保護者「志望校が決められない」
署名は、元英語教師らでつくる「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」が昨年11月からオンライン署名サイト「change.org」で実施。同会の池田真澄会長は同日、都庁での記者会見で「アルバイトによる試験監督など、知れば知るほど問題点が浮かび上がってくる」と指摘。都議会への請願に向けた署名活動も約3000筆が集まっているという。
会見では、品川区の中学3年の母親、高柳恵美さん(51)が「とにかく説明が不足している」と訴え、「テストの採点結果は1月中旬まで分からず、それまで志望校が決められない。間に合うのか不安」と話した。
保護者や予備校講師からも疑問
テストを巡っては、入試活用に反対する保護者らの署名も7000筆近くが集まった。大学教授や予備校講師などでつくる「入試改革を考える会」の活動では、300人以上がオンラインでテストに疑問の声を寄せた。
英語教育に詳しい慶応大の大津由紀雄名誉教授や立教大の鳥飼玖美子名誉教授ら5人も10月、入試活用に反対する要望書を都教委に提出。自由法曹団東京支部幹事会も今月、入試活用に反対の声明を出した。
都教委「意見は承知している」
一連の署名活動などを受け、都教委の担当者は「テストに関してさまざまな意見があることは承知している。ウェブ上の特設ページなどで周知を引き続き行い、中学生や保護者が安心できるよう準備をしていく」としている。
テストの運営は都教委と協定を結んだベネッセコーポレーションが担う。約8万人の受験生は27日、都内約200の会場で前半と後半のグループに分かれ15分間で8問に回答。専用タブレットに録音された音声はフィリピンで採点される。100点満点のスコアは6段階の4点刻みで都立高入試に加点。入試の総合得点1020点のうち20点をスピーキングテストが占める。
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