知事に政策提言する「リバースメンター」に初の高校生 群馬県、若者の声を政治に反映させる機会に
群馬県も本気 予算500万円
群馬県内の高校生10人が、知事に政策提言を行う「リバースメンター」の委嘱を受けた。意見を聞くだけではなく、県は提案された政策を実現するため、9月補正予算案に500万円を計上する方針。山本一太知事も「本気で取り組む」としており、委嘱された高校生も「社会問題の解決策を考えても、高校生の立場で実現は難しい。大人の力を借りて達成できれば」と意気込む。
10人が意見 医療通訳、eスポーツ…
リバースメンターは、通常とは逆に部下が上司の相談役(メンター)となる仕組み。若い世代の価値観を学ぶ機会となることが期待される。各地の自治体で導入例が出ているが、群馬県によると高校生に委嘱する例はないという。
今回の10人は、応募者25人から選考を経て選ばれた。医師を目指す十河愛寧さん(市立太田高2年)は、外国人が病院受診時に必要となる医療通訳の費用負担について提言。「病院に外国人が少ないのはなぜかと調べて、この問題に気付いた。行政の立場から医療現場の問題に関わることは、将来にも役立つと思う」と話していた。
ほかに、中高生をターゲットにした子宮頸がんワクチンの接種促進や、市町村単位で幅広い年代が参加するeスポーツチームの発足などの意見があった。
「社会を変えられる」と思えるように
日本財団の調査によると「自分の力で社会を変えられる」と思う日本の若者は26%で、先進国でも低い。10代の投票啓発活動に取り組み、リバースメンター事業を運営する笑下村塾(東京)のたかまつなな社長は「高校生の声を政治に反映させる機会にしたい。未来を変える成功体験となり、それを積み上げていけば、『私もやろう』という人が増え、若者の政治参加にもつながる」と期待する。
参加者らは11月の政策提案会に向け、月に1~2回のワークショップを通じて準備を進める。年度内に実現が難しい施策は来年度予算案への計上を目指し、県単独で困難な施策は知事の大臣陳情に高校生が同行することも想定している。