参院選の模擬投票、よりリアルに 上尾市の公立中学で取り組み広がる 主要政党に質問ぶつけ回答を参考に投票

前田朋子 (2022年7月8日付 東京新聞朝刊)
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模擬投票を行う生徒ら=いずれも埼玉県上尾市立上尾中学校で

 10日投開票の参院選に合わせて、埼玉県上尾市立の三つの中学校で社会科の時間を利用した模擬投票が行われた。安全保障やウクライナ問題、物価高対策など、事前に生徒が考えた質問を10項目にまとめて国政の主な政党に送り、その回答を参考に投票した。参院選後の11日以降に開票する予定だ。

昨秋衆院選で初めて実施、2校加わる

 「回答集は読めたかな。自分たちの考えをグループで共有してみましょう」。6日に模擬投票をした上尾中の3年3組。投票に先立ち担任の大野桂輔教諭(28)が声を掛けた。生徒らは5、6人のグループに分かれて話し合い、「ジェンダー問題の取り組みがいい」「私立高校の無償化が気になった」と各党の主張を分析。「回答が長過ぎて全部読むのがきつかった」と正直な感想も漏れた。

 ジェンダー問題に興味がある鹿嶋みらいさん(14)は「元々いいなと思っていた政党より、ほかの政党の回答がいいと感じられたものもあった」と語る。若者の意見を政治に取り入れる仕組みを質問した畠山皓嗣さん(14)は、コンビニ投票など投票方法の多様化を挙げた政党を「子どもの僕らにしっかり分かりやすく説明してくれてありがたい」と評価。沖縄の基地問題に関心がある大熊音惟(とい)さん(14)は「各党の対応を理解できてよかった」とそれぞれに関心を高めた。

 架空の設定ではなく実在の政党に生徒が質問し、その回答を参考にして行う模擬投票は、大石中の佐々木孝夫教諭(62)が考案した。昨秋の衆院選で同中で初めて実施。今回は新たに2校が加わり、大石中と上尾中の全クラス、上平中の一部のクラスの計約1700人が参加した。質問は国政の主な6政党に送り、いずれも返答があった。

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6党分、58ページの回答集を参照しながら投票に臨む生徒ら

教諭が挑む「主権者教育のための授業」

 若年層の投票率の伸び悩みについて、大野教諭は自身の力不足も感じていたという。「主権者教育として授業で何ができるか。引き出しやアイデアが少なく、まねでもいいからやってみよう」と佐々木教諭らの研究会に参加。各党の主張を文字どおり受け取るだけでなく、根拠を調べたり、実社会と比較してみるなど、学びをより深める方法に検討の余地はあるものの、「これまでの架空の設定とは違い、リアルに感じられたようだ」と生徒らの反応に手応えを得た。

 佐々木教諭は今回、生徒らの質問が単なる問いではなく、自分たちの将来を「こうしてほしい」という意思表明になっていることに気付いた。模擬投票が若者の政治参加意識を高めるとともに、日ごろから「若い世代の問い掛けに政党が答えるのが当たり前の社会になれば」と期待した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年7月8日

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