大空はばたけ 大田区六郷に伝わる郷土玩具「とんび凧」 小学6年生が手作り体験
中村真暁 (2023年10月26日付 東京新聞朝刊)
大田区六郷地域に伝わる郷土玩具「とんび凧(だこ)」の作り方を伝える授業が23日、区立西六郷小学校(西六郷2)で行われた。子どもたちは初めての体験に四苦八苦していたが、羽を大きく広げた世界に一つだけのたこを完成させて目を輝かせていた。
大正時代には海外輸出される人気
六郷のとんび凧は江戸時代の終わりごろ、河原に干した魚をカラスから守るために揚げられたのが始まりとされる。大正期には海外輸出されるほど盛んに作られたが、第2次大戦中に衰退してしまったという。しかし有志の努力で再興が図られ、1983年から地元で揚げられている。
西六郷小学校での授業は、地元で保存・普及を続ける「六郷とんび凧の会」の吉田恒男会長(87)らが講師となり、10月に計3回開催。最終日のこの日は6年生約60人が紙に穴を開けて糸を通したり、羽をたわませたりしながら、縦約30センチ、横約70センチのたこを完成させた。
男子児童(12)は「糸の結び方一つを見ても、長年にわたって伝わってきたことが分かった。完成すると予想以上に大きくて、興奮した」、女子児童(12)は「竹ひごを羽のカーブに合わせて固定するのが難しかった。飛ばしてみたい」と笑顔を見せた。
長年、小学校などの区内施設でとんび凧の作り方などを伝えてきた吉田会長は「先人が残してきたものづくりの文化。伝えていきたい」と話した。