<わたしの糧ことば・特別編>2児の母・ジャーナリスト 治部れんげさん

(2017年2月16日付 東京新聞朝刊)

2児の母で、ジャーナリストの治部れんげさん

息子は40歳になっても、かわいいわよ

 小学生の息子が1歳になる前、バスで乗り合わせた年配の女性がかけてくれた言葉です。

 「かわいいのは今だけよ」という人は多いけど、息子を「かわいい」と思う気持ちと「大変」と感じる気持ちがせめぎ合っていた当時の私には、その言葉はプレッシャーで。育児を楽しめていない自分はダメなんじゃないかと。そんな時、見ず知らずの女性の一言に「40歳までなら、まだかわいがる時間はあるかな」と、ほっとしました。

 息子が6カ月の時、当時勤めていた出版社に育休から復帰しました。息子との遊び方にもまだ慣れてなくて、夕食後、「何やってるんだろう」と思いながら近所を巡回するバスに子どもとよく乗りました。女性はそこで乗り合わせたお客さん。育児で先が見えないとき、経験から分かる先のことを前向きにとらえた言葉に、勇気づけられましたね。

じぶ・れんげ

 一橋大卒業後、日経BP社に入社。2014年からフリー。

 

糧ことば

 人生の先輩などから言われて救われた子育てに関する言葉。共有することで、独りぼっちで悩みがちなママたちの心を少しでも軽くしたい-との願いを込め、広告会社・博報堂の「リーママプロジェクト」のメンバーが名付けた。東京新聞では2016年9月から2年間、読者から寄せられた「わたしの糧ことば」を連載。著名人による特別編も5回掲載した。